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大きな肩幅と、秀でた骨格。暗い眼差し、醒めた唇。吉住曹。
秘密を抱えて投げやりに生きてきた彼は、静香の秘密を知らない。
裕福な資産家であり、温厚な美貌を持つ現国教師、速水黎。
その優しい笑顔の下に隠された秘密とは……
成城の豪邸で、速水の庇護の元、暮らす沙羅。
一途に速水を慕う沙羅だが、彼女にもまた彼女の知らない秘密がある。
作品のご紹介&感想
学生、激辛、体から系をリクエストくださったお客様、お待たせいたしました!おそらく、必ずやご満足いただけるに違いない、鷹宮さま渾身の大力作のご紹介でございます!
鷹宮ゆうり様は、CocktailBreakで最初ご紹介した作品の作者さまです。拙宅開設当初、なるべく多くの作者さま、多くのサイトさまをだぶらずに(?)ご紹介したいと思っておりましたので、ご紹介する作品も、とりあえずは一人の作者さまからは一作としておりました。しかし、拙宅の学園もの特集でこの「先生」をはずすわけにはまいりません!ご紹介した作品も増えて参りましたので、そろそろ二巡目にかかるよい機会かもしれないと思いご紹介に踏み切りました。くしくも、二つめの作品をご紹介する最初の作者さまもまた、鷹宮さまになりましたが、学園もので、なぜはっちが、こちらの作品をはずせないと思ったのか、お読みいただければきっとおわかかりいただけるかと存じます!
作品の軸となるのは、大学出たての代理教師「静香」と彼女の教え子アウトサイダー的な男子高校生「曹」、そして笑顔が優しい現国教師「速水」と彼が後見している少女「沙羅」、この二つのカップルです。
年下の恋人の若々しさと激しさ、そして愛しさにあふれた曹にはっちはメタメタになりましたが、大人の男性の落ち着きと抱擁力にあふれた速水先生もまたよく、そしてその自制の壁が崩れるところなぞはたまらなくヨカッタです!何もかもが巧みな作者さまでらっしゃいますが、魅力的な男性キャラを魅力的に動かし、そしてまた魅力的に描くことにかけてはもう、殺人的な力量をお持ちでございます。
憎らしいくらいな巧みさは、ストーリーメーキングにも如実に現われ、物語には様々な伏線が隠されております。起伏に富んだストーリーは、読者を決して飽きさせず、予断を許さず、「ええっ?そんなぁ!どうなるのぉ?」と翻弄されながら読み進むしかありません。その、どきどきはらはらのなんと面白く嬉しいこと!そういう意味でここまで読者を楽しませてくださる恋愛小説は本当にそうそうあるものではありません。
メインの4人以外にも、登場するキャラはそれぞれが個性的で、説得力をもって描かれ、その彼らがこの二つの恋に複雑に絡んで、物語を一層ドラマティックで奥行きのあるものにしていきます。いくつかの恋の成就と終わりがこの長い物語では描かれており、どの恋が実り、どの恋が終わっていくのか、それは、この恋愛ジェットコースターストーリーともいうべきこの物語の醍醐味でもありますので、あえて、あらすじも含めて詳しいご説明は省かせていただきます。しかし、どれほどジェットコースター的な起伏がある恋愛物語であったとしても、無節操にくっついては離れ、離れてはくっつくを繰り返す類の、行き当たりばったりの恋物語ではありません。どれほど激しく揺れようが、そこには作者さまが描こうとなさった、キャラたちを歩かせようとなさった一本の道がある・・・そんな作品でございます。
以前、趣味を同じくする友人の「エロの濃度自体が問題なのではなくて、エロがあることで物語の深みがぐっと増すものでないと面白く感じない」という言葉に激しく頷いたことがあります。また、最近「朝チュン」という言葉を知りました。艶っぽいシーンになると暗転して、次は朝、小鳥がチュンチュン啼いているシーンとなり、昨夜の情事を代弁するというケースのことを、そのように呼ぶそうです。作中そういう関係になることがストーリーの展開上必要であっても、そのシーンを描写することが重要ではない作品、あるいは年齢制限を設けていないなどの理由でそれを描く事が憚れる場合などよく使われています。思うに、朝チュンではなく、エロティックなシーンを作中描くのであれば、友人の言葉のように、それによって物語の深みが増していくものであってほしい・・。そうでなければ、それを描く意味はないのでは・・・・乱暴な様ですが、一読者として私はそう思います。ネットには、朝チュンであっても充分に官能的な魅力がある作品もあれば、逆に、年齢制限があっても、エロティックなシーンがあっても、そうした意味で少しもおもしろさを感じられない作品が多々有るからです。
しかし、この作品は違います。友人の言葉を体言するかのように性愛のシーンを描くことによって、キャラたちの心情や人間性がより深く描かれてゆき、その先のストーリーもまた深みと面白さをましていく、まさにこの作品はそれだと思いました。情事、性愛のシーンは濃厚でとても官能的ですが、読者がそう感じるのは、なにもそのシーンの官能描写が優れているせいだけではありません。性的なシーンは、それが予見できる場合も意外な場合も必然であり、物語の中で、重要な山場となり、ターニングポイントとなるように絶妙に配置?されています。読者はキャラの心情とストーリーを追いかけてきたことで、それらのシーンをより劇的なものとして感じ取れる下地が知らず作られていたようなものです。そして到達?した性愛のシーンでは、直接的な描写もさることながら、性愛に揺れるキャラたちの心理描写の巧みさがそのシーンを一層官能的なものにしているのです。こうした巧さが本当に絶妙です。
高校教師☓教え子という一見ありふれたカップリングでありながら、他に類を見ない個性的かつ独特な深みと奥行きのあるストーリーは、読み応えがありすぎるくらいです。甘いシーンもあれば、痛いシーン、激辛なシーンもあり、どきどきはらはらと同じくらい、切なくやるせない物語でもあります。エンディングもハッピーととるか否かは読まれる方によって様々でしょうが、私は、全てを昇華したような、そこに作者さまが描こうとなさったものが見えたような、印象的ないいエンディングだと思いました。
画面底部の 【Novel】 ⇒ 【Deep Love Novel 18才以上の女性向け小説】
⇒【先生】とお進みください。鷹宮ゆうり様のサイト15R&18Rはこちら
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