～恋愛小説R18･オンライン小説･イラスト･コミックの感想とご紹介～

霞ヶ関を闊歩する前途洋洋の若き氷室。苦学してＴ大に進みエリートとして歩む氷室は、明晰な頭脳に加えて恵まれた容姿もあり、その気質はいっそ傲慢と言えるほどでした。そんな彼に昔世話になった遠縁の財産家から、ぜひにと縁談が持ち込まれます。相手は高慢なまでに美しい一人娘の水南。母の死後、引き取られた水南の家で、気位が高く我ままな彼女に蔑まされた経験が忘れられない氷室でしたが、だからこそ、彼女を見返すつもりでその縁談を受けます。ぜひにと望まれ、水南も納得していたはずの婚約でしたが、彼女が彼を見つめる目は冷たく、やがてこの婚約には重大な秘密が隠されていたことに、氷室は気づくのです。


作品のご紹介＆感想

Cocktail Break 記念すべき？一番目のご紹介作品は、人気実力とも、オンノベ（オンラインノベル・オンライン小説）界の大御所というにふさわしい鷹宮ゆうりさまの作品です。はっちも大ファンでございます。大変多作でいらっしゃいますが、なにより驚きは、この作者さまのオンライン小説はどれを読んでもはずれがない！とにかく読み始めたら、読み終わるまでパソコンの前から離れられなくなる作品ばかりです。おもしろさは太鼓判でございます。

さて、そんな鷹宮さまの作品の中でも、私は、この「冷たく熱い指さえも」シリーズ第三話、「この雪が溶けるほど―天、愛をこめて―」が一番のお気に入りなのです。このシリーズは、一話一話が独立した物語として充分おもしろいのですが、特にこの第三話はこれだけで、ハーレークイン顔負けの、ばりばり？のドラマティックさです！萌えます！泣けます！最高です！

隠されていた秘密が明らかになった後の怒涛の展開は目が離せません。氷室と水南、愛憎入り乱れる二人の情事は、火花が散るほどの激しさと息詰まるほどの緊迫感に圧倒されることウケアイです。そうした、はらはらどきどきの極みを充分に満喫させた後、ラストで読者は泣かされるのです。なぜ、どうしてかは、どうぞお読みくださいませ。これから読む方の楽しみをはっちが奪うわけにはいきません。ただ、そこに到るまでの展開が激しいからこそ、ラストの切なさが一層胸に迫るとだけ、ここでは申しあげておきます。ぜひぜひ、読みに伺って泣いてきてくださいませ～

他の作品もみなそうなのですが、ストーリーメーキングの上手さはもう、超人的？ではないかと、はい。無駄がなく、簡潔、そして丁寧で読みやすい文章は、それだけでも卓越した筆力を感じるのですが、舞台となる市役所の内情なども、非常に説得力がある描写でございました。こうしたリアルの部分がしっかり描かれてあるからこそ、読者は興ざめすることなく、思う存分鷹宮さまの世界に浸り、酔わせてもらえるのだと思います。

そしてもちろん、非凡な筆力は官能シーンにも発揮されておられ、本当に最高です。各話とも、かなり濃い目のシーンがあるのですが、もう大人の女性のロマンチシズムとエロチシズムをこれでもかと刺激してくださる、まさにこれぞ恋愛小説の醍醐味ともいうべき官能シーンでございました。

画面底部の 【Novel】 ⇒ 【Deep Love Novel １８才以上の女性向け小説】
⇒【成美×氷室シリーズ】とお進みください。

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作品のご紹介＆感想
実は私、文月様の作品は、全年齢対象の別サイトで出会ったのが最初です。そちらの作品は、まさに黄金期の良質な少女漫画を彷彿させる、じれったくて切ない恋物語、本当におもしろかったです。丁寧で読みやすい文章もさることながら、心理描写とストーリーメイキングが絶妙で、もうすっかり作品の世界へトリップさせていただきました。
　　　
私が思いますに、年齢制限のないおもしろい作品を描く作者さまは、制限のある作品を描いても、間違いなく面白いです。（文月様しかり、先にご紹介した鷹宮様しかり）年齢制限がないということは、つまり危ない？シーンがないわけです。もちろん具体的な性描写がないだけで、関係をほのめかす文章や、性交には到らなくとも、危ういそれっぽいシーンがあることは多いです。けれども、制限のない作品の場合、そういう深い関係になる、ならないという事実と、それに対するキャラの心情が重要であって、性行為そのものの描写はそれほど重要ではないわけです。というよりも、年齢制限がないため、あからさまな描写は避けておられる。だからこそ優れた作者さまは、視線がからむ、指先が触れる、キスや抱擁というシーンや、一線を越えるまでの、あるいは超えたあとの心情の描写が、非常にお上手です。つまり、そういうシーンがないにも関わらず、目イッパイ読者を萌えさせるほど、ストーリーメーキングにも描写力にすぐれた作者さまが、性描写、性行為ありの物語を描いたら、そりゃあもうおもしろくないはずがない！
　　　
１０年も待ってヒロインを引き取ったヒーローは、親友の忘れ形見である彼女を誘惑しようとしたり、思いとどまったり、この悪い？男は悶々とするわけです。そしてまた、その度にヒロインは翻弄されてしまうのですが、そこがイイ！お約束の仇役も、男女それぞれ登場しますので、それがまた物語をドラマティックに盛り上げてくれます。
　　　
この作品の官能描写はかなりハードですが、それらのシーンはストーリーの中の大小のクライマックスとなり、また重要なターニングポイントになっています。物語がかなりドラマティックですから、ある意味、それにふさわしいと言えるかも。

続篇「華の僥倖」連載中

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舞台は緑の社の中の朱色の千本鳥居が有名な伏見稲荷大社。キーワードは、焔。カップリングはお狐さまと巫女、あるいは刑事と女子高生。シンとした霊気が満ちた杜の中で生まれた恋の物語。

作品のご紹介＆感想

　　
京都という土地は不思議な土地です。その情報が広く深く知られ、どれほど観光化され、映像化され、一度ならず訪れたことがあってさえも、その神秘性と特異性を感じずにはいられません。郷愁とは違う種類の憧憬を、この土地に持たない日本人はほとんどいないでしょう。この物語はそんな京都という土地、しかも朱い千本鳥居がならぶ伏見稲荷大社を舞台に選んだからこその、独特の雰囲気が醸し出されたオンライン小説です。

ヒロインは京都在住の女子高生ですが、生まれと育ちは北の雪国。京都への憧憬はその土地から遠くなればなるほど強くなるような気もしますが、彼女も京都に暮らしながらも、その憧れと畏敬を持ち続けているある意味異邦人的な感覚があるようです。アルバイト先の伏見大社のお稲荷さまを乙女らしく信奉し、その眷属である狐をお狐さまと親しみと畏敬をこめて呼ぶその様は、少しだけ浮世離れしていますが、だからこそとても新鮮です。そんな彼女の前に現われる青年刑事はなんと狐のような風貌をしており、しかも彼は放火犯を取り締まる刑事。朱い鳥居と朱い焔、狐と焔は切っても切れない縁がありますが、それだけではなく、彼自身にも、焔との縁があることが後々明かされてゆきます。

狐という獣がもつ神秘性と妖しさ、そしてもまたちょっとしたいかがわしさ？もこの青年とオーバーラップして、物語を盛り上げてゆきます。焔を狐と巫女。巫女たるヒロインはアルバイトではあっても、憧憬と畏敬をこのお狐さまの社にもっておりますから、巫女たる資格は十分です。本来なら、異性を遠ざけ清浄であるべき巫女も、仕えるべきお稲荷さまの眷属である狐の化身のような彼であれば、その恋も許されるのかもしれません。焔に暗い因縁を持つお狐さまにとってもこの巫女は救済と癒しの象徴となっていきます。勘違いからあやうくすれ違いそうになるのはお約束ですが、誤解が解けた後の急展開の情事のシーンは、場所が場所のなだけに、神聖でいながら禁忌を犯したイケナイ妖しさがそこはかとなく漂いとてもエロティックなオンライン小説でした。

この作者さまは果たしてどちらにお住まいなのでしょうか？舞台となる稲荷大社の描写は想像だけで描けるものではないと感じるほど雰囲気があります。読んでいるだけで、シンとして静かで、そして目に鮮やかな朱色の鳥居が見えてきそうな描写です。この土地と、この土地に対する特別の思いいれがなければ、これほど深く情感をもって描くことはできないのではと思いました。またヒロインがお狐さまと呼び、繰り返し語られる、青年刑事の風貌や表情もまた印象的に読者に刻み付けられます。そのせいか、読後には、緑の社の中の朱い鳥居、その清浄な霊気の中、佇む彼の姿と細い目をゆるませるその表情まで頭の中に映像として残っています。

京都という土地と伏見稲荷、そしてそれらに対する作者さまこだわり？の描写力、カップリングの妙、それらがこの作品にロマンティックなだけではない不思議な妖しさと官能的な魅力を与えています。焔に秘められた恭平の過去、それを癒したいと願う凪紗。彼らの恋の物語は、その後も、緑の社と朱い鳥居、そして狐火のような焔を背景に進んでいき、現在も連載中です。決して暗い雰囲気ではありませんが、明るいだけのラブエッチ系作品とは一味違う、個性的で印象的、そしてもちろんロマンティックでエロティックな恋愛物語です。（2008.1.30.完結）

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作品のご紹介＆感想

　　
理系科目の青年教師と女子高校生のカップリングは、オンライン学園恋愛小説で、非常にもてはやされている設定でございます。思うに、女性は文系出身者が多いせいか、自分が苦手とする科目、数学や科学、物理ができるというだけで、その男性が、余計に格好よく思えたりするのかもしれませんです。（現実社会での理系男性学生は、ほとんどお宅系諸氏が多いですし、はっちの高校時代、格好いい理系教師などいませんでしたが、そんなこたあ、オンライン小説の世界では関係ありません。）世の男性が、看護婦のコスチュームに弱いのと同じ様に、女性は白衣に弱いのです。そして、もちろん眼鏡もはずせません！（ノンフレームタイプor銀縁！）白衣に眼鏡とくれば、ビジュアル的に、もうそれだけで、理知的に見えるじゃあないですか！つまりは、女性は、頭のよい男性に弱いわけです。（もしくは、頭がよさそうに見える男性に！）
姿もよいのは大前提ですが・・・(^^ゞ

さて、この作品に登場いたします、朗先生は、そんな私メの白衣萌え、眼鏡萌えの、要求を200％満たしてくれている、高校の化学教師です。白衣に眼鏡だけではなく、長身で怜悧な容貌の持ち主ですから完璧です。まさしく、漫画でよく見かける、ﾒｶﾞﾈがキラリと光る美形キャラです。明晰な頭脳、計算高くて、ミステリアスでニヒル（いまどきこの言葉を使う人間っているだろうか？）な思考。沈着冷静の仮面？の下では、結構な激情ゆらめくＳ気質！（笑）
微妙な歪み具合がとてもインパクトあって、魅力的でした。

そんな彼の毒牙というか、誘惑に落ちてしまうのが本編のヒロイン志紀。作者さまは、彼女を、ニュートラルと評しておられます。ニュートラル、つまりは、ギアが入っていない状態。おそらくは、自然体、あるいはとても安定して見える、中庸と平常心の持ち主みたいな感じでしょうか。自分と違い、彼女の積木は平坦に、整然ときれいに乱れなく積み重ねられていると朗先生は感じ、それを崩してみたい（積木くずし？じゃあありません）、乱してみたいと、彼女に興味を抱くわけです。彼は、彼女と無理やり関係をもち、体から彼女を篭絡していこうとします。

おおまかな人物設定も、ストーリー自体も決して珍しいものではないのですが、登場するキャラたちの心理描写が秀逸です。それが、この作品をよくあるらぶえっち系の甘い恋物語とは一線を画し、とてもドラマティックに、そして説得力を持たせていると思います。性的シーンの描写も逸品で、作者さまご自身が注意書きされておられるように、描写はかなり濃厚です。なにしろ、体からはじまる関係ですから・・(^^ゞ。しかし、性描写と心理描写、卓抜したこの二つの描写のどちらが欠けても、この作品はこれほどおもしろくはならなかったと思います。朗先生も、志紀も、惹かれあうお互いの心と体に翻弄され、混乱し、物語は進んでいきまして、その辺りがもう絶妙です。朗が意識し、嫉妬せずにはいられない志紀の幼馴染とか、ヒロインに粉をかけてくる、ﾏﾒ朗とでもいうべき同級生とか、脇役も手堅く？物語を盛り上げてくれます。

性描写や心理描写だけではなく、あらゆる描写が秀逸、脱帽です。恐るべし筆力！それぞれのシーンの背景の描写にも情感があふれ（ラストの吹き抜ける風が鳴らす笛のシーンはまるで映画を見ているようでした。）そのせいで、それらが投影されたキャラの心情が一層読者の印象に残る物語でした。
とっても、官能的なオンライン学園恋愛小説です。


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作品のご紹介＆感想

　　
この作品は、はっちが初めて読んだ禁断の恋もの、つまりは近親相姦を扱ったオンライン恋愛小説でした。ネットではそれ系のオンライン小説が氾濫しているのは知っておりましたが、あまたあるウェブ小説の中から、わざわざマニアックな暗い？関係の話を読んで、暗い気分になる気にはなれませんでした。つまり、楽しめないと思っていたのです。しかし、この作品を拝読してから、はっちのその、禁断の恋ものは、マニアックで楽しめないという思い込みは払拭されました。おもしろいです！眼イッパイ楽しめました！

禁断の恋という設定になじめなかった私メの先入観は読み始めたとたん、あっさり翻りました。（節操のないはっち・・・・(^^ゞ）おそらくは、主役の二人が、読者と同じ価値観で、禁忌を犯すことを自らに許せないでいるからでありそれを読者に納得させているからだと思います。だからこそ、激しい恋心とそれを何とか抑制しようとする心情に説得力がありました。激しい恋心と、それを抑えようとする自制心や諦観との凌ぎあいが、もう痛々しくて、焦れったく、おもしろいです。それでいて、ちっともどろどろしていません。あっという間に感情移入してしまった読者は、もういいじゃない、そんなに好きなら、神様に内緒で結ばれちゃいなさいよと二人に言いたくなってしまいます。けれども、そう簡単にいかないのが、このオンライン小説のおもしろさです。二人の恋の障害はまるで山のようにあり、そもそも二人はお互いの恋心を知らないままに、彼らの心は揺れに揺れるわけです。果たして、この二人の恋が実るのかどうか、それは読んでからのお楽しみです。

あらゆる意味で、はっちの愛する少女漫画を彷彿させる物語世界でした。文章はとても映像的にシーンやキャラの心情を語り、それでいて読みやすく分かりやすい。かなりの長編ですが、巧みなエピソードの積み重ねが、憎いくらいに読者の気持ちを揺さぶり、最後まで気をそらせず一気読みせずにいられませんでした。主役の二人をはじめ、魅力的なキャラも多数登場しています。財閥の御曹司とその令嬢という二人の設定も、読んでいるだけでゴージャスな気分を楽しめましたし、このお洒落で都会的な雰囲気が漂う作品にはぴったりだと思いました。禁忌の恋物語が苦手な方も、騙されたと思ってまずは読んでみられてはいかがでしょうか？



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作品のご紹介＆感想

ネットでは、性的シーンも含まれる、学園恋愛オンライン小説、いわゆるらぶえっち系の作品があふれています。読んでいて楽しい事は楽しいのですが、余りにも設定や展開が同じ様な作品が多く、時にはひねり？のある個性的なオンライン小説が読みたくなります。この作品は、そういう意味でとても個性的で、印象に残った作品です。

謎めいた美少年、もしくは美少女の転校生は、設定としてよくありますが、そのシーンが読者にとっても、作中の同級生たちと同じ様に印象的にインパクトをもって描かれている作品はそうありません。けれども、この作品では、主人公の少年の登場を、読者はヒロインと気持ちを同じくして迎えることができました。彼女の視点で物語は進んでいきますが、その後も、彼女が彼を見つめ、彼に感じる謎めいてそれでいて鮮烈なイメージはそのまま読者の心にも投影されてゆきます。読者の彼に対する興味も嫌が応にも膨れ上がっていくわけです。

高校生らしい若々しさと、それでいて少しだけ大人びた雰囲気のあるヒロインの語り口もとても好感が持てます。瑞々しく真摯、どこか透明感のある彼女の視線と感覚は、この物語の魅力でもあります。やがて彼女にもまた語られることのない秘密と影があることに読者はきづかされます。二人はお互いの秘密と傷を、言葉で確かめ合う事はしないままに、それを感じ取り、惹かれあっていくのですが、それはそのまま二人の謎とこの物語に引き込まれてしまう読者の感覚でもあります。とにかく、さすがミステリファンという作者さまだけあって、そうした作中の謎に読者の興味と関心をひきつける筆運びが秀逸で、それもまたこの物語の魅力になっています。後半からラストにむけて、その謎は徐々に明らかになり、だからこそ二人は、このように劇的に惹かれあい恋に落ちたのだと読者は納得するのです。

高校生らしからぬ？二人の情事は、とても丁寧に、そして情感をもって描かれています。傷を持った二人が、それを告げることなく、お互いの心と体で感じ取り、それを癒しあう・・そんな雰囲気があふれていました。それはらぶえっちという言葉が与える明るくも軽いそれではなく、決して重くはありませんが、官能的で印象的なシーンでした。

この作品は完結していますが、シリーズ化されて完結前後の彼らの物語が多数描かれています。初作であるこの物語の以前、もしくは同時進行の物語以外では、彼らの魅力でもあった謎めいた翳りが払拭されていますので、同じキャラを主人公としていても、その印象はかなり違います。このオンライン小説の鮮烈な印象だけを心に留めておきたいという方はともかく、彼らの今後が気になるという読者は、その後の約１０年間を垣間見ることができます。


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作品のご紹介＆感想

高校生による企業とかありえな～いとかは禁句でございます。同じく、結婚しているわけでもあるまいし、たかだか高校生が恋人のいる相手を好きになる（恋人がいながら他の人を好きになる）ことをなぜにそこまで深刻視しなければならないのかという疑問も胸にお収めくださいませ。それらの設定上の疑問を軽～くスル～してくださらないと、このオンライン小説の物語世界を楽しむことはできず、それはあまりにもったいないことです。

たとえば、この物語を、そのまま一般の企業に舞台を移して、キャラたちを社会人にしたり、貴影が結婚していることにすれば、先に述べた前提などは必要なくなりますが、そうなったらここまでおもしろい作品にはならなかったのだろうなと思います。作中で彼らは、仕事や恋愛を含めた言動も、そして情事も、高校生とは思えぬ成熟度を感じさせますが、それでもどろどろした感じやすれた感じがせず、物語の印象はあくまで新鮮で鮮烈です。それは作者さまがキャラを、どれほど大人びていようが、内面に若さゆえの脆さと瑞々しさを秘めた高校生とし、舞台を架空の高校生企業SSRに設定したゆえだと思います。それに私メはファンとして拍手です。

作者さまの作り出したこの作品世界の中では、SSＣは実績と利益を挙げ、世間から評価されている高校生企業。そしてヒロイン美綾と彼女が恋する貴影は、二股や乗換え、略奪愛など考えもつかない、非常に恋愛と男女交際にﾋﾟｭｱでストイックな高校生であります。その大前提をしっかりと踏まえさえすれば、起伏のあるドラマティックなストーリー展開、一つ一つのシーンや心理の丁寧で説得力のある描写、魅力的なキャラたちと三拍子そろった作品ですので、文句なしに楽しめるはずです。

美綾の古風で儚げな美しさとその風情、そして押し殺した心の奥で静かに燃える恋心の激しさ。読んでいて、その切なさといじらしさ、悲しさが胸に迫ってくきます。彼女はまさしく切ない系の恋愛小説の王道的なヒロインであり、読者は、その切なくいじらしい彼女の恋心に同調し、感情移入せずにはいられません。この物語は切ない系のオンライン恋愛小説の中では、一二を争う秀作ではないかと思います。（浸れます！酔えます！泣けます！）登場する男性キャラもその容姿だけではなく言動もすべて、高校生にあるまじき？大人っぽさと格好よさで読者を惹き付けます。それもこの作品の魅力のひとつに違いありません。（いーじゃありませんか、イケメン高校生ばかりがなぜ集まるのかなどと、無粋な質問はなしです！）

抑え続けてきた恋心の枷がはずれ、二人が一夜を共にするシーンは、鮮烈で非常に官能的です。この作者さまが描く性的なシーンは、性描写と心理描写が相乗効果となって、女性にしか描けない、女性の官能に訴えてくるものがあると思います。読み始めたら、きっとSSＣの世界にはまってしまうことウケアイでございます。


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作品のご紹介＆感想

　　
このオンライン小説を初めて読んだ時、私は、「僕はﾍﾟｯﾄ」という、ﾄﾞﾗﾏ化もされたラブコメ漫画の秀作を思い出しました。年上の、恋に破れ、人生にちょっと疲れてしまった自立した女性が、道端で、若くてかわいい？わけありの男の子を拾って、一緒に暮らすうちに、心癒され、やがて愛し合うというストーリーは、心疲れた大人の女性にとって、シンデレラとはまた別のタイプの、ドリームストーリーなのかもしれません。ただ、漫画の僕はペットでは、二人はあくまでペットと飼い主、一線を超えて恋人同士になるのは、少年が女性の家を出て、自立していってからですが、本編でのふたりは、いわゆる、体から始まる関係というヤツです。行くところがなく、ヒロインの前に転がり込んできたこの少年は、一夜の宿の礼を、体で払おうとします。人並み外れて美しいこの少年は、そうやって、過酷な人生を泳ぎ渡ってきた、そうせざるを得ない環境に今までいたことをヒロインは感じ取り、彼を受け入れるのです。少年とは対照的に、真面目に地味に生きてきたバツ一のヒロインが、少年とのセックスを経験することによって、ある意味、精神的にマイフェアレディ的な変身、脱皮をするのは読んでいて痛快でした。
一見不釣合いの二人が、共に暮らすうちに、心も体も寄り添いあい、愛し合うようになるのですが、少年には重くて暗い過去があり、やがて彼女もそれを知ることになります。
主役の二人がとても魅力的ですが、それ以外の登場人物も、非常に丁寧にリアルに生き生きと描かれていて、ドラマとしてまず面白い作品です。少年の謎が露になっていくに従って、二人の絆が深くなっていくので、読者は気がぬけません。快いはらはらどきどきわくわくは、常にあり、読者は、いつの間にか、二人の恋を応援している自分に気がつくでしょう。
美しい少年。巧みなセックス。その設定だけで充分エロティックだと思いますが、作者さまは、丁寧で柔らかな文体で、二人の情事の官能的な雰囲気を読者に伝えてきます。直接的な表現はないに等しいのですが、そのシーンを描かなくとも、行間に官能の情緒と余韻を漂わせるのが、本当にお上手な作者さまで、脱帽ものです。シンデレラとは別の意味で大人の女性のメルヘンのようなオンライン小説です。（08/5/13完結）

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卒業後、プロの花形バスケットプレーヤーとして活躍する和馬を遠くから見つめ続けていたさくらだが、二人は偶然再会し、和馬は変わらぬ彼女の自分への恋心をすぐに感じ取る。その無条件に注がれる好意と崇拝は傲慢な彼のプライドをくすぐり、気まぐれをおこした和馬は、自分の番号は教えずに、彼女の携帯の番号だけを聞く。
和馬の気がむいた時だけ電話がかかってくる、そんなささやかなつきあいが始まる。少しの笑顔と会話、それでも憧れ続けた和馬がときおり彼女にみせる優しさはさくらを幸せにし、心の支えとなっていく。しかし、和馬の姿を見ているだけで幸せだったさくらたが、いつしか、叶わないとわかりながらも彼の愛を求めずにいられなくなる。和馬もまたさくらが醸し出す雰囲気に心が安らぐのを感じるが、特別の自分に平凡な女は似合わない、さくらは自分にとって女ではなく、ただ自分だけを見つめる彼女の無償の好意と崇拝が快いだけだとそれを認めようとはしない。やがてさくらは、溢れる思いを抑えきれずに思わず彼に伝えるが、自らの思いに気づかない傲慢な和馬はそれを残酷に切り捨て、あくまでファンの一人でしかないことを、思い知らせるような仕打ちをする。
そのことによって、彼女を失うことになるなどとは思いもせずに・・・。
　　　　

作品のご紹介＆感想

　　
ときめきメモリアルＧＳというｹﾞｰﾑの二次創作サイトさまです。鈴鹿和馬ファンサイトと銘打っておられるように、そのｹﾞｰﾑに登場する鈴鹿和馬というキャラクターに作者さまがほれ込まれ、オリジナルヒロインさくらと彼との様々な恋物語をオンライン小説やイラスト、コミックで描いておられます。

しかも、こちらのサイトでの彼は、一人であって一人ではありません。ある作品では現役の初々しい高校生。ある作品では海外へ渡りプロとして成功している傲岸不遜の男。ある時代パラレルでは、身分違いゆえに身をひこうとする娘を強引に妻とする領主さま。ある作品ではひたすらヒロインを追い求め、ある作品では逆に求められる。キューティーハニーさながら、それぞれの作品で、その年齢や性格、設定を微妙に書き分けておられ、読者はその違いを楽しみながら、それぞれを独立した物語として、その世界を味わうことができるのです。（正直どの物語もかなりはっちのツボの作風でして、その中からどの作品をご紹介するか悩みました・・(^^ゞ）

はっちはｹﾞｰﾏｰではありませんので、ときめきメモリアルも、鈴鹿和馬も全く知らないでおりました。けれども、こちらのサイトへ伺い、作者さま描くところの和馬の物語を拝読するうちに、すっかりファンになってしまいました。いえ、ときめきメモリアルのファンではなく、あくまで、mamuさま描くところの、和馬のファンでございます。本当にこちらのサイトさまを知り、二次創作作品のおもしろさは、作者さまのそのキャラへの愛情と思いいれの深さに比例するものなのだと改めて思いました。もちろんそれも、この作者さまのように、文章力を含めた豊かな表現力とイマジネーションが備わっていてこそですが。とにかく、それくらいmamuさまの描く和馬やその物語は魅力的ですので、元ネタを知らない方でも、十分に楽しませていただけるのではないかと思います。

本編には鈴鹿和馬を含む４人の男女が登場します。同じｹﾞｰﾑに登場する姫条まどかと彼を慕うもうひとりのヒロインです。けれどもメインはやはり、和馬と彼をしたうヒロインさくらの切ない恋の行方でしょう。この作品での和馬は、mamuさまの和馬らしさ全開の、気持ちのいいくらいに、俺様な男として描かれています。傲岸不遜、傍若無人なプロの花形バスケットプレーヤー。そしてヒロインはそんな彼を高校生の頃からひたむきに恋している、健気で儚げな女性です。

前半（一部）はその俺様和馬が全開です。だからこそ対照的に、健気なヒロインさくらの心情が切なくていじらしくてたまりません。とにかく、他の二人も含めた４人の心理描写が絶妙で、読む側にその切なさややるせなさがヒシヒシと伝わってきます。ストーリーもそれを盛り上げる展開で、憎いくらい読者をゆさぶってくださいます。冒頭のプロローグで断片的に語られたように、失ってはじめてわかるという状態に、和馬はやがて陥り、４人それぞれの恋がすれ違っていくのですが、そのあたりも、非常にいいです。

この作者さまが描くところの和馬は、どの作品も非常にセクシーな雰囲気があり、性的なｼｰﾝがまだないこの作品にも、それは滲み出ています。性的な行為や直接的な性描写はなくとも、キャラの心理が性的に艶めいた時のわずかな情欲の揺れ、その描写が非常に官能的なのです。（性的な描写を抑えたこちらの作品でさえそうですから、それらがプラスされた別サイトの和馬は危険なほど ｍａｘｉｍｕｍ にエロティックです！）

ご紹介したこのオンライン小説はちょっと更新が停滞中ですが、コンスタントに更新してらっしゃるサイトさまですから、遠からず再開してくださると思います。多彩なサイトさまで、イメージイラストもキレイでとてもセクシーですし、コミカルなパラレルコミックも楽しめます。はまってしまったら、全て把握するのに2,3日では足りないほど多彩なサイトさまです。ご紹介した作品は、目次から　[ＬＯＶＥ ＰＡＲＡ]　⇒　[ＣＬＯＶＥＲ]　とお進みください。



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薔薇の家に越してきた夜、凛々子は人ならぬ者に襲われる。翌日もそれは現われるが幸樹の訪問で慌てて去っていく。幸樹に不思議な言葉をほのめかす凛々子は、自分を襲った者の正体もそれと幸樹との関係もわかっている様子。年齢差はあれど夫拓真を愛し、幸せな家庭を築いてきた凛々子。彼女を愛しながらも別れを切り出した夫拓真の真意とは？凛々子と叔母緋美子、また幸樹との間にはどんな秘密があるのか？薔薇の咲き乱れる緋花の家には二重三重の謎が秘められている・・・・。

作品のご紹介＆感想

　　
ミステリアスで、オカルト風味がある、不思議で個性的なオンライン小説です。
最初はヒロインと夫、ヒロインと彼女に憧れる青年の年の差か三角関係が軸になる恋愛物語かと思いましたが、そう単純？なストーリーではありませんでした。物語には、不思議な謎がいくつも、隠されていました。
特に物語の導入部、最初の謎が明かされるまで、幸樹以外の視点で進められる部分では、奥歯にものがひっかかったような違和感と苛つきを読者に感じさせながらストーリーは進みます。紹介文で作者さま自らそれを明かしてらっしゃるので、ここで申しあげても問題はないかと思いますのでひとつだけネタバレさせていただきますが、ヒロイン凛々子、その体は確かに凛々子ですが、実は、その意識というか魂は亡くなった前妻、緋美子なのです。

かなりオカルト（超常現象）？的ですし、突飛なのですが、読者はそれをストンと受け入れてしまいます。それは、薔薇に囲まれた古い家という、暗さやおどろおどろしい雰囲気は微塵もないにも関わらずどこか幻想的に描かれていたロマンティックな舞台設定と作者さまの描写力のせいかもしれません。凛々子（緋美子）の謎が明かされてからが、物語が本格的に動き、面白さが加速していくのですが、物語の本筋はあくまで恋愛です。そして、それらオカルト風の設定がこの恋愛物語を、とても新鮮で印象的、そして官能的なものにしていました。

現在と過去が交錯しながら物語は進んでいきますが、若き日の緋美子と後に結婚する太陽のように明るく健やかな拓真の恋は、性的なシーンも含めて瑞々しく鮮烈で、青春の輝きそのもののように思えました。けれども影があるからこそ光が際立つように、対比する対象があるからこそ、その光が一層輝かしいことに読者はやがて気づきます。光を輝かせる陰、それがこの物語には秘められており、それこそがこの物語の魅力ではないかと私は思いました。その影とは、第三の男性である幸樹の叔父、やがては人ならぬ身になっても凛々子（緋美子）への妄執を捨てきれない正樹の存在です。拓真が太陽であるならば、彼はさしづめ闇と死、生殖を司り、また禁忌の象徴でもある月のようです。彼は単なる恋敵や仇役として描かれているわけではなく、もっと奥深い謎と不条理を秘めながら物語の影に潜んでいました。

彼とのシーンは、直接的な描写は（まだ）ないにも関わらず、拓真とのシーン以上に官能的に感じられました。特に中学生だった緋美子と彼との、情事と呼ぶには語弊がある突発的な事故のような初めての接触は、淫靡というよりもむしろ神秘的であり非常に衝撃的でした。性的な部分だけがこの物語の魅力ではありませんが、性（セックス）とはこの上なく肉体的でありながら、霊的なものに重なる神秘性があることにあらためて気づかされ、それがとても新鮮でした。

陰と陽、光と影、そしておそらく精神と肉体。対極にあるそれらの対比が、この不思議な恋の物語を鮮やかに彩っています。物語はまだ中盤で、更新もそれほど早くはありません。けれども、この物語がこれからどのように動いていくのか、過去編での緋美子と正樹、そして現在の凛々子と拓真、凛々子と幸樹の関係はどうなっていくのか、とても楽しみなオンライン小説です。

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