金色の髪と瞳。長身で短命。貧相な外見の沿岸諸国の人々には立派な体と美貌はまさに「神」と映り、彼らの島は神々の島とも呼ばれたルメラ人。ルメラの王国崩壊後、残された人々は沿岸諸国に散らばってゆく。言語を解さず虚弱な彼らは、その美貌を目当てに、昔日彼らを神と崇めた人々から狩られ売られ、卑しめられる境遇にいた。
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水と緑と文化の国アナトリア。かの国を渇望するカザフの王族にして将軍エドモンドは、マガダにおける和平交渉の席を抜け出した折りに、花街でカデルと名乗る娼婦と思しき美しいルメラ人を助ける。一目でその美貌の虜になった彼は後日娼館を訪れるがそこに彼女はいない。彼女が残した指輪にアナトリア王弟の印があることから、彼は使者としてアナトリアの王宮へ赴くが、そこで再会したカデルは、アナトリア王弟ディオスに仕え、そして自身も前王の側室を母とする複雑な身分境遇の女性だった。
その美貌を見初められ、ルメラ人でありながら、前王の側室にまで成り上がったカデルの母カデリーヌ。カデルは彼女に生き写しだった。寵を失い地位を追われたカデリーヌと共に離宮に軟禁されていたカデルは、母の死後ディアスに引き取られ今の地位を与えられたが、彼女は今も母の亡霊に苦しめられていた。
カデルの過去を知っても尚、彼女を求める思いを隠すことなくぶつけてくる尊大だが豪放磊落なエドモンド。ディオスの為に彼のその思いさえ利用するカデル。虐げられ、愛に飢えた子ども時代、ディオスが差し伸べた手は、彼女にとって唯一無二のものであり、それ以来彼は彼女の全てだったからだ。しかし、ディオスは、思うにまかせない自らの心を持て余し、時に彼女の心をふみにじる――。
中世欧州に似た世界。美貌のルメラ人カデルを中心に繰り広げられる
愛と憎しみ、戦いと陰謀、風の王国の物語。
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ディオス & カデル 作品のご紹介 : WEBコミック作品です。随分前に一度伺ったのですが、その時既に完結なさっていたので一気に最後まで拝読し、その後ブックマークすることなく見失ってしまった貴重なコミックサイトさまです。ところが、昨日、偶然ゆきつくことができまして、そのまま再び、一気読み・・・お、おもしろかった~!
なんせバリバリの少女漫画世代の私メ。漫画は大好きなのですが、オンラインではなかなかうまく探せずにおりましたので、う、嬉しい!画風、キャラ、ストーリー、これまたこのまま商業作品として充分通用なさるハイレベルな作品でございます。本当にアマチュアであることが不思議なくらいな作者さまです。そして総ページ数604という大長編を完結なさっておられるのですから、読み応えは充分です。
屈折ヒーローが大好きなはっちでございますので、この作品でも、屈折大魔王とも言うべきディオスを贔屓したいところですが、いえ、実のところ、今でも贔屓しているのですが、それでも、このエドモンドの大らかな愛情は、女性として憧れます。もう、これでほだされなければ、カデルは女性とは言えますまいに・・・。辺境の蛮国と呼ばれる砂漠の国、カザフ。母国をそのまま体現したような、まさに太陽の化身のような、この野性味あふれるヒーローは、すばらしく魅力的です。貴族的な冷たさと洗練をにおわせるディオスもかなり好みですが、今回ばかりはこの明るく健やかなヒーローに一票でした。
けれどもなによりも魅力的だったのは、ヒロインカデルです。心に深く闇を抱えながらも、神とも見まがうその美貌。強かで怖ろしく、まさにクールビューティー、けれども仮面の下には今もなお、傷ついた心と孤独を隠している。そのアンバランスさがめちゃくちゃツボでありました。普通風の女の子をヒロインに設定した物語も嫌いではありませんが、この作品のように、クラシカルな雰囲気を滲ませた、いかにもなヒロインらしいキャラをヒロインに設定した物語は、なんと申しますか、もうそれだけで心を掻き立てるものがございます。画風も、その設定にふさわしい美しさで非常に魅力的です。
カデルをめぐるシリアスな恋愛を中心にした物語ですが、王宮恋愛事情ともいうべき、少々がさつではありますが、無邪気で奔放な女性騎士カーリスをめぐる恋の騒動もとても楽しかったです。王族、貴族、騎士に美姫、美形キャラ目白押しの波乱に富んだ王宮ロマンス。陰謀あり、戦いありで、もう、それ系が好きな方にはタマラナイ作品ではないかと。そしてもちろん、はっちも、そのタマラナイくちでありました!
★コミックファンの方へおすすめ 新館でご紹介のWEBコミックは こちら歌門さつき様のサイトはこちら
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