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作品のご紹介&感想
平安時代・桜・鬼・・・・いつからそれがインプットされたかはさだかではないのですが、私メの脳内で、それらはセットでイメージされております。
平安オンライン小説を
ご紹介するからには、
鬼と桜が登場する物語を一つは
ご紹介したいと思っておりましたが、この作品は、もう、私メのイメージにぴったりでございました。
今昔物語などにもよく出てまいりますが、当時の人々は男女問わず、佳人に化けた
鬼に心と命を奪われた人が多かったようでございます。化けたというのは語弊があるかもしれませんね、佳人が妄執を残して没してのち、
鬼となる・・・ケースも多いわけですから。
歌舞伎や謡曲の題材ともされた古典の中の
鬼たちは、もっぱら高僧や英雄に調伏され成敗されるべき対象でしたが、人々が夜を怖れなくなり、怪奇にも無縁の生活を送るようになると、世の常識を超越した美しさと怖ろしさ、そして強さと儚さをあわせもつ
鬼を愛でる現代人もでてまいりました。私メもその一人。
美しい鬼が出てくる耽美でダークな物語はかなり好みです。
そして、
美しい鬼と桜はよく似合います。なぜ、
鬼が桜の木の下によく出没するのか、それについても、作中で説明してくださっておりまして、それもまた嬉しかったりします。
文章は雅やかで美しく、よい意味で、とっても古典的。冒頭から読者を無理なく
平安の世へトリップさせてくださいます。歴史ものをメインに描かれる作者さまゆえのワザかもしれません。
見目麗しい
鬼が人を誑かすのは古典にならってお約束どおりの展開ですが、お約束どおりの展開だからこそ、読者がそれを、ああまたかとがっかりするか、それでもおもしろいと楽しむことができるかで、作者さまの力量が問われます。この作者さまの美しくも巧みな筆は、読者を失望させることはありません。
印象的かつ官能的な情事のシーンもイイですし、その後の展開の美しも怖ろしい映像的な描写もイイです。
平安・鬼・桜。ダークで耽美、そしてエロス。短いながらも、この作品でそれらを満喫することができる
オンライン小説です。
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