|
・中篇
/完結/
現代
・幼馴染
|
幻 影 金 魚
|
SITE NAME : 碧落の砂時計 http://hp.kutikomi.net/hisoku/
MASTER : 社大 (タカオ) 様
CAUTION : 
STORY ; 少女の身体が疼く時、赤い金魚が舞う――。 小6の夏、誰にも言えない秘密の出来事。 その日から不思議な幻覚を見るようになった高校生の女の子と、従兄の男の子の危うい関係 ――この恋、どうなる。 ――作品紹介文より
INTRODUCTION : 思春期の少年少女の性衝動、その成熟前の青い性の危うさと妖しさは、モチーフとして魅力的なのか、それを描いた有名な文芸作品は多いです。特定の相手への恋情や欲望がその根底、もしくはきっかけであったとしても、それが全てとも言い切れず、だからこそ、その生物学的には自然ともいうべき自らの衝動(発情?)に翻弄され思い悩まされるそれらの作品の主人公たち。しかしながら、そうした作品の多くが純文風であり、彼らは自らの性衝動、強いては性そのものの深遠を哲学的なまでにつきつめて考えようとしているせいもあり、まどろっこしいのが苦手な私メは、どーにも、頭でっかちに感じられて退屈であり、楽しめた記憶はございません。著者も主人公ももっぱら男性でありましたので、その頃の私メにとっては、所詮は対岸の火事、オトコノコはタイヘンだなあ…という感想くらいしか持ちませんでした。
さて、本編の主人公は高校一年の少女でありまして、彼女の内の性的な衝動が軸となり物語は語られてゆきます。主人公の性は女性ですが、同じく思春期の性衝動をモチーフとしながら、今まで私メが読んだ他の作品とは違い、本当におもしろく、楽しめた作品です。その要因は、主人公が同性であるという理由がすべてではありません。
従兄弟との性的な接触後、少女は、性的な衝動を覚えると、赤い金魚が目の前に見えるようになり、それは彼女を思い悩ませます。少女の性衝動を赤い金魚で表した作者さまのイマジネーションのすばらしさにまず脱帽です。ゆらゆらと少女の目の前を泳ぐ金魚の描写のその幻想的な美しさと妖しさ、危うさ、儚さ、そして可愛らしさ…。そうなのです、少女は、それこそ痛々しいくらいに思い悩みその金魚を持て余すのですが、私メにはそれが可愛らしく思えてなりません。少女ゆえの潔癖さを持つ彼女にとっては、厭わしく思える自らの欲望を体現している赤い金魚ですが、赤い金魚の可愛らしさはそのまま、少女が持て余している性的な衝動や恋情、欲望の可愛らしさを象徴しているに他ならず、トウのたった大人の読者としては微笑ましいくらいです。どれほど少女がその欲望を疎んじても、それに屈する自らを卑下しても、赤い金魚は赤い金魚であり、決してピラニアでも奇怪な様相の深海魚でもない。赤子のように無垢とは言えないかもしれないが、同じ位罪がない。
赤い金魚の可愛らしさと、その幻想的で浮世離れした美しさ、そしてある種の清潔感はそのまま本編を体現しております。少女もそして従兄弟の少年も、どれほど性的な衝動に翻弄されていたとしても、否、その衝動ゆえに、真摯であり、潔く、それは読んでいて羨ましさを覚えるほど目映かったです。性的な題材を真正面から描いたとてもエロティックな作品ですが、読者として印象に残るのは、青い性の生々しさではなく、瑞々しさであり、それはとても鮮烈でした。
社大(タカオ)様のサイトはこちら

水たまり?NO!実は拍手ボタン♪

|

|
|
|