見つめるだけの
GENRE : オンライン小説 恋愛小説非R18 R指定なし
SITE NAME ; Garden.
http://www.geocities.jp/kiku_co_co/
MASTER : き く こ 様.

CAUTION :


STORY ;
舞台は江戸時代。その大名の姫として生まれた長子(ながこ)。
義兄であり許婚の静香。
ほのかな恋は、長子にはもう芽生えていたけれども、彼は??
読めない見えない静香の気持ちが、長子にはじれったくて……。
そんな彼女の前に現れたある男。彼は何者?
そして恋の行方は……?―――作者さま紹介文より
作品のご紹介 :
日本のお姫様はと問われて、私がまず思い浮かぶのは、長い黒髪で十二単を身に纏った平安朝のお姫様、そして、高くゆった髪に豪華だけれど重そうなかんざしを飾り、打ちかけをまとった江戸時代のお姫様です。しかし、オンラインの世界では平安朝のお姫様がヒロインの作品はよくみかけるのですが、大奥系の江戸時代のお姫様がヒロインの作品は、あまりみかけません。どれほど大切に守られていても、不心得な侍女の手引きひとつで姫君の寝所まで忍べた平安の時代と違い、いかに泰平の世とはいえ武士にとっていざという時には砦ともなる城や館は、そう簡単に忍び込めるものではありません。ただでさえ女性にとって貞節が、未婚であれば処女性が、その命にも等しいとされていた時代です。ましてそれが高い身分の武家の姫君ともなれば、堅牢な屏や石垣、忠義の家臣に十重二十重に守られていたに違いなく、平安の世のように、そうそう一夜の過ちなんてことは起きなかったでしょう。女性の身分とその自由度が著しく反比例していた時代、しかもアクシデントが起こる確率も皆無に近いとなれば、この時代の姫君をヒロインとした恋愛小説は、設定からしてかなり難しいのかもしれません。この作品は、そんな希少な江戸時代のお姫様を描いた作品であり、ジャンル?としての目新しさを割り引いても、とても新鮮な魅力があり、楽しませていただいた作品です。
さて、本編は、大名家の一人娘、長子姫の恋のお話であり、彼女の視点で物語は語られてゆきます。他の作品もそうなのですが、この作者さまはとても柔らかい文章で物語をつむがれる方でして、その文体が本編、そしてヒロイン長子の雰囲気にぴったりとはまっております。剣の稽古が好きだったり、少々お転婆ではありますが、おっとりと柔らく、甘やかなヒロインの語り口は、まさにお姫(ひい)さまそのものです。オンライン作品に高貴な女性を主役に据えた作品は珍しくありませんが、語り口一つで、ここまでそのヒロインの育った背景、環境、(つまりはお姫様そだちだと言うこと)を読者にすんなりと自然に感じとらせ、そしてそれが魅力的に見える作品はそうないと思います。
どうもお嬢様育ちのキャラはえてして、庶民派のヒロインの仇役に設定さることが多く、タカビーであるとか、わがままであるとか、どちらかといえば否定的に描かれることが多いです。そうではなく、善玉やお嬢様設定のヒロインの場合にも、必ずといってよいほど彼女たちへの褒め言葉として『お嬢様らしくない』という形容詞がつきますし、ストーリーの展開上、苦労にもまれたヒロインがお嬢様らしさを失っていっても、それは成長の証とされ肯定して描かれることがほとんどです。
そうした物語に慣れていたせいか、本編のヒロイン長子のお嬢様らしさ、もとい、お姫様らしさは本当に新鮮でした。なにしろ彼女は情事の後の帯すらも一人では満足に結べないほどの生粋のお姫様。その彼女のお姫様気質は、最後まで損なわれることはなく物語は綴られるのですが、それはちっとも嫌味ではなく、彼女のそのお姫様気質こそが、この物語の魅力になっているように思えます。読み進むうちに、私メも、世の殿方が、多少世間知らずでも、育ちのよい、お嬢様タイプの女性にひかれるという気持ちがちょっとだけわかったような気がします。世間知らずなところが可愛らしくて構いたい、危なっかしくもあるので目が離せないし守りたい、そしてその甘やかで柔らかい彼女の雰囲気や空気に触れて癒されたい…世の男性、そして本編のヒーローがそう思うのは無理がないと思いました。それくらいヒロインは魅力的です。言葉でご説明するとありきたりになってしまい、その雰囲気をお伝えするのは難しいですが、ご一読いただければ、私メのいわんとすることは、きっとご理解いただけると思います。
さて、一番最初に述べましたように、闇の中から忍んでくる恋人を待っているだけでよかった平安時代の姫君と違って、江戸時代のお姫様を主役に据えるのであれば、お姫様自身に屏の外へ出て来てもらわなければ物語は進みません。この時代の姫君の常として狭い世界で生きてきた長子は、出会うべくして出あった義兄でもある許婚へのほのかな恋心を温めてきましたが、優しくはあっても、彼女へ隔てをおく彼への不安や不満を持て余し、姫君にはあるまじきことながら、たびたび市中へ出向きます。そこで出会った第三の男?に唆されて、許婚の心を確かめる企てを謀りますがそれがきっかけとなって彼の秘密を知ることに…。
という感じで物語は動いていくのですが、世間知らずな故に、少々幼いところがある長子ですが、同時にすれていない素直さはとても可愛らしく、彼女が許婚へ抱く片恋のせつなさとやるせなさ、いじらしさはじんわりと胸に沁みます。そんな世間知らずな初心な長子の恋が、物語が進むに連れて、次第に色づき大人めいていくあたりの描写は、まるで露に濡れた花の蕾がほころぶような艶があり、しっとりと官能的な雰囲気です。物語の背景となる江戸市中の様子もさりげなくそれでいて丁寧に描かれ、謎の男?の快活なべらんべえ口調もまた江戸の侍っぽくて粋に思えました。そんな彼が長子にその思いの丈をぶつける時だけはべらんべえ口調が影を潜め、口から出るのは短くもストレートで女心を鷲づかみにしてしまう殺し文句というのもヨカッタです!どんな台詞かは、読んでからのお楽しみですわン♪柔らかな文章は読みやすくはあっても丁寧で、そして本当にわかりやすいですので、さくさく読めます。
恋愛作品ならではのドリームも多分に含まれておりますが、作者さまは、江戸の情緒を滲ませるだけではなく、背景となる時代のはずせない部分はしっかりと把握なさっている作品であると思います。ですから、恋愛モノがお好きであれば、この時代の作品一般がお好きな方が読まれても興ざめしたり、違和感を感じることなく、楽しませていただけるのではないかと存じます。本編の続編 『シンプルデイズ』 や『たまゆらに花を抱いて』、ビクトリアン風の異世界召還系 『甘やかな月』シリーズもおすすめです。
きくこ様のサイトはこちら


日本のお姫様はと問われて、私がまず思い浮かぶのは、長い黒髪で十二単を身に纏った平安朝のお姫様、そして、高くゆった髪に豪華だけれど重そうなかんざしを飾り、打ちかけをまとった江戸時代のお姫様です。しかし、オンラインの世界では平安朝のお姫様がヒロインの作品はよくみかけるのですが、大奥系の江戸時代のお姫様がヒロインの作品は、あまりみかけません。どれほど大切に守られていても、不心得な侍女の手引きひとつで姫君の寝所まで忍べた平安の時代と違い、いかに泰平の世とはいえ武士にとっていざという時には砦ともなる城や館は、そう簡単に忍び込めるものではありません。ただでさえ女性にとって貞節が、未婚であれば処女性が、その命にも等しいとされていた時代です。ましてそれが高い身分の武家の姫君ともなれば、堅牢な屏や石垣、忠義の家臣に十重二十重に守られていたに違いなく、平安の世のように、そうそう一夜の過ちなんてことは起きなかったでしょう。女性の身分とその自由度が著しく反比例していた時代、しかもアクシデントが起こる確率も皆無に近いとなれば、この時代の姫君をヒロインとした恋愛小説は、設定からしてかなり難しいのかもしれません。この作品は、そんな希少な江戸時代のお姫様を描いた作品であり、ジャンル?としての目新しさを割り引いても、とても新鮮な魅力があり、楽しませていただいた作品です。
さて、本編は、大名家の一人娘、長子姫の恋のお話であり、彼女の視点で物語は語られてゆきます。他の作品もそうなのですが、この作者さまはとても柔らかい文章で物語をつむがれる方でして、その文体が本編、そしてヒロイン長子の雰囲気にぴったりとはまっております。剣の稽古が好きだったり、少々お転婆ではありますが、おっとりと柔らく、甘やかなヒロインの語り口は、まさにお姫(ひい)さまそのものです。オンライン作品に高貴な女性を主役に据えた作品は珍しくありませんが、語り口一つで、ここまでそのヒロインの育った背景、環境、(つまりはお姫様そだちだと言うこと)を読者にすんなりと自然に感じとらせ、そしてそれが魅力的に見える作品はそうないと思います。
どうもお嬢様育ちのキャラはえてして、庶民派のヒロインの仇役に設定さることが多く、タカビーであるとか、わがままであるとか、どちらかといえば否定的に描かれることが多いです。そうではなく、善玉やお嬢様設定のヒロインの場合にも、必ずといってよいほど彼女たちへの褒め言葉として『お嬢様らしくない』という形容詞がつきますし、ストーリーの展開上、苦労にもまれたヒロインがお嬢様らしさを失っていっても、それは成長の証とされ肯定して描かれることがほとんどです。
そうした物語に慣れていたせいか、本編のヒロイン長子のお嬢様らしさ、もとい、お姫様らしさは本当に新鮮でした。なにしろ彼女は情事の後の帯すらも一人では満足に結べないほどの生粋のお姫様。その彼女のお姫様気質は、最後まで損なわれることはなく物語は綴られるのですが、それはちっとも嫌味ではなく、彼女のそのお姫様気質こそが、この物語の魅力になっているように思えます。読み進むうちに、私メも、世の殿方が、多少世間知らずでも、育ちのよい、お嬢様タイプの女性にひかれるという気持ちがちょっとだけわかったような気がします。世間知らずなところが可愛らしくて構いたい、危なっかしくもあるので目が離せないし守りたい、そしてその甘やかで柔らかい彼女の雰囲気や空気に触れて癒されたい…世の男性、そして本編のヒーローがそう思うのは無理がないと思いました。それくらいヒロインは魅力的です。言葉でご説明するとありきたりになってしまい、その雰囲気をお伝えするのは難しいですが、ご一読いただければ、私メのいわんとすることは、きっとご理解いただけると思います。
さて、一番最初に述べましたように、闇の中から忍んでくる恋人を待っているだけでよかった平安時代の姫君と違って、江戸時代のお姫様を主役に据えるのであれば、お姫様自身に屏の外へ出て来てもらわなければ物語は進みません。この時代の姫君の常として狭い世界で生きてきた長子は、出会うべくして出あった義兄でもある許婚へのほのかな恋心を温めてきましたが、優しくはあっても、彼女へ隔てをおく彼への不安や不満を持て余し、姫君にはあるまじきことながら、たびたび市中へ出向きます。そこで出会った第三の男?に唆されて、許婚の心を確かめる企てを謀りますがそれがきっかけとなって彼の秘密を知ることに…。
という感じで物語は動いていくのですが、世間知らずな故に、少々幼いところがある長子ですが、同時にすれていない素直さはとても可愛らしく、彼女が許婚へ抱く片恋のせつなさとやるせなさ、いじらしさはじんわりと胸に沁みます。そんな世間知らずな初心な長子の恋が、物語が進むに連れて、次第に色づき大人めいていくあたりの描写は、まるで露に濡れた花の蕾がほころぶような艶があり、しっとりと官能的な雰囲気です。物語の背景となる江戸市中の様子もさりげなくそれでいて丁寧に描かれ、謎の男?の快活なべらんべえ口調もまた江戸の侍っぽくて粋に思えました。そんな彼が長子にその思いの丈をぶつける時だけはべらんべえ口調が影を潜め、口から出るのは短くもストレートで女心を鷲づかみにしてしまう殺し文句というのもヨカッタです!どんな台詞かは、読んでからのお楽しみですわン♪柔らかな文章は読みやすくはあっても丁寧で、そして本当にわかりやすいですので、さくさく読めます。
恋愛作品ならではのドリームも多分に含まれておりますが、作者さまは、江戸の情緒を滲ませるだけではなく、背景となる時代のはずせない部分はしっかりと把握なさっている作品であると思います。ですから、恋愛モノがお好きであれば、この時代の作品一般がお好きな方が読まれても興ざめしたり、違和感を感じることなく、楽しませていただけるのではないかと存じます。本編の続編 『シンプルデイズ』 や『たまゆらに花を抱いて』、ビクトリアン風の異世界召還系 『甘やかな月』シリーズもおすすめです。
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