氷 の 城
GENRE : オンライン小説 恋愛小説非R18 R指定なし
SITE NAME : 地リスの応接間 http://jiris.fc2web.com/index.html
MASTNER : j i r i s 様

CAUTION :


STORY ;
中世イングランド。アストリッドは領土を安堵したい兄に連れられ、厳寒の最中、城主の元へと嘆願へ向かう。年老いた城主は、名高い武将ながら、戦場の傷が癒えず、今は病の床にあるとの噂だった。城主の亡き愛妻に連なる血筋、そしてその面影をやどしていると言われるアストリッド。嘆願が聞き届けられた後、彼女は彼の寵を受け、塔に住まいするようになるが、暗闇の中訪れる主は彼女に素顔を見せることはなく、彼女もまた人前へ出る事を禁じられる。退屈を持て余し、高い塔の窓から外をみていた彼女はある日、以前立ち寄った修道院で出会った若い騎士の姿を見つける…。
作品のご紹介&感想 :
オンライン恋愛小説のファンでこちらのサイトさまをご存じない方がいたとしたら、それはもう失礼ながらモグリとしか申せません。それくらい有名かつ、驚異的なサイトさまでございます。なにが驚異的かと申せば、公開されている作品の質・量・速さでございます。本当に、こちらのサイトさまの作品だけで全集ができてしまうくらい多作でありながら多彩!作者さまのイマジネーションの泉は、枯れることがなく無限であるとしか思えません。
膨大といってよい作品群は、舞台とする時代も場所も設定も本当に多種多様であり、バラエティ豊かとはまさにこの作者さまのためにあるような言葉であります。後から後から湧き上がり溢れ出てくるアイディアとイマジネーションを、作者さまは零すことなく、流れるにまかすことなく丁寧に生真面目に、そしてまた貪欲に作品として形にし続けてらっしゃる…そんな印象さえ受けます。
どの時代、どの国を舞台とした作品であっても、そこには、それぞれの時代風俗、背景、国情をきちんと把握し消化なさった上のご執筆であることが伺われ、作者さまの歴史に関する知識の広さと幅にはただただ驚くばかりです。しかもそのほとんどが完結なさっておられ、連載中の作品の更新も滞ることが全くないのです。オンノベファンの皆様であれば、それがどれほどありがたくも難しく、稀有なことか、よくよくご存知でございましょう。作品と読者に対するのその真摯でご誠実な姿勢には、深く深く感謝と尊敬の思いを抱かずにはいられない作者さまであります。
さて、本編の舞台は中世イングランド、領地争いの裁定を求めて領主の元へ兄と参じた貴族の令嬢がヒロインです。どの時代、どの国を舞台とした作品であっても、ほぼ共通するのはヒロインの精神の健やかさなのですが、この作品でもそれを感じました。領地を安堵したい家長たる兄の命で、年老いた城主へ侍ることになるうら若きヒロインに愛妾となって時めきたいという野心などありません。かといって、自身を人身御供だと憐れむような悲壮も卑下もありません。愛する故郷の森を守りたいがため、家族のために尽力できることに誇りさえ感じながら、傷つき老いた城主を慰める役目を従順に、そして主体的に受け入れるのです。運命を従容と受け入れているように見えて、そこには確固たるヒロインの意志があり、そのしなやかなたくましさこそが、この作者さまの描くヒロインに共通する魅力だと私メは思っております。
暗闇の中ヒロインの元へ通う城の主は素顔を見せず、ヒロインが知るのはその熱と声のみ。その設定はまるでプシュケの物語のようにエロティックですが、そこには物語の謎が秘められております。厳寒のイングランド、十字軍帰りの騎士、素顔を見せない貴人、修道院、古城、隠し扉、塔の佳人、作品は、まさに中世ハーレーを彷彿とさせる世界であり、ゴシックならではのミステリアスな雰囲気とロマンスが満喫できる作品です。
平易な文章は読みやすく、物語は滞ることなく展開してゆき、あっと言うまに最後まで読み進んでしまいます。作者さまの筆力、読ませる力には脱帽であり、あらゆる意味で本当に驚異的な作者さまであります。
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