蛇 巫 女

秋の夜に読みたい大人のメルヘン特集 第6夜
GENRE : オンライン小説 恋愛小説非R18 R指定なし
SITE NAME : 「姫 様 御 殿」 http://loyrie.web.fc2.com/
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MASTNER : わたなべ りえ 様

CAUTION :







STORY ;
「わらわは決めた。蛇巫女となるのは、紅蓮(ぐれん)じゃ」
小さな金貨を宙に放って、母である蛇巫女は双子の娘の運命を別けた。それから七年、風香は山間の養い親の元、虐げられて育ち、
紅蓮は都の母の元、次代の蛇巫女として人々から敬われ、傅かれて生きてきた。
――たかが、金貨の裏表ではないか。
養家を逃げ出し、都へ舞い戻った風香は母の死を知る。
そこで出会った、蛇巫女の従者道羅(どうら)。
若く美貌の彼の手の甲にはとぐろを巻いた蛇の刺青があった。
それは、その身も心も蛇巫女に捧げられたものであるという所有の証。
道羅の澄んだ水の瞳を初めて見たとき運命を感じた風香は、
この男が紅蓮のものだと思うだけで、心の奥にも炎が燃えた―。
わらわは蛇巫女。 無礼を働けば、万死に値するぞ――
――本編より一部抜粋
作品のご紹介 :
爬虫類が苦手な私メだけではなく、蛇に生理的な嫌悪感をどうしても抱いてしまう方は多いかと思います。『蛇のようだ』という言葉を褒め言葉だと感じる人はほとんどいないでしょう。手足のない特異な風体と獲物を生きたまま丸呑みにするその捕食方法、そして猛毒を有している種も多いせいか、蛇神は古来より、邪淫、残忍を象徴し、もっぱら怖ろしき神として畏怖され、祀られてまいりました。本編はそんな怖ろしくもおぞましい蛇神を奉り、人々がその庇護を受けている世界の物語です。
蛇の性は非情にして酷薄とされております。その化身である蛇神も、またその力を具現しているとされる本編の姫巫女もまた然りです。ヒロインの母は、その蛇の性そのままに、金貨の裏表で簡単に双子の片割れであるヒロインを打ち捨てます。その後7年の間、苦難を舐めたヒロインは、都に舞い戻り次代の蛇巫女たる姉と再会するのですが、お互いの間には肉親の情などは存在しないかのようです。また古来より蛇の性(しょう)を持つ女は淫蕩(いんとう)にして淫靡であり、男の生と精を吸い取ると云われますが(元祖魔性の女!)、本編における蛇巫女はまさにそれを体現しております。淫蕩な蛇巫女に自身の思い人を所有されているという事実と彼らの情事への淫らな想像は、ヒロインをして、姉へ嫉妬と憎しみ、怨嗟を一層募らせるゆくわけです。このあたりまで読み進みますと、読者も、それらおぞましき蛇の性、それは蛇巫女たる母や姉だけではなく、ただ人であるはずの本編のヒロインの中にも確かにそれはあることに気づかされるはずです。
ヒロインが負の感情を徐々に募らせてゆくにつれ、読者はある距離感をもって彼女を見つめざるを得なくなります。けれども、それは決してこの物語自体を楽しむに邪魔にはならず、むしろ、この距離感があるからこそ、この残酷さも秘めた物語を冷静?に純粋に味わうことができるのだと思います。わかりやすく読みやすい平易な言葉を用いながらも、それでも人の心の奥底とその動きを、簡潔に的確にそして説得力をもって描く作者さまの筆はこの物語でも如何なく発揮されており、読者はこのダークで残酷な物語に引きこまれてゆくに違いありません。
明るさや甘さは皆無です。それを求められる読者の皆様へはお勧めすることはできませんが、ダークであり、残酷であり、時に倒錯的なシーンはあっても、潔さと読み応えがある完成された物語であります。なにより巧みなストーリーメーキングと、絶妙な心理描写は本当に逸品ですので大人の読者の皆様であれば、秋の夜、たまには、こんなダークで残酷で淫靡な物語も、大人のメルヘンとしてお楽しみいただけるのではないかと存じます。
作品への直接リンクOKのサイトさまですので、『蛇巫女』 目次へ直接飛びたい方は こちらからどうぞ。同じ世界設定でも、本編に比べれば明るく甘さも味わえる竜神の末裔もオススメであります。
★新館でも開催中 『秋に読みたい大人のメルヘン特集 』 はこちら からわたなべ りえ様のサイトはこちら

携帯サイトはこちら
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爬虫類が苦手な私メだけではなく、蛇に生理的な嫌悪感をどうしても抱いてしまう方は多いかと思います。『蛇のようだ』という言葉を褒め言葉だと感じる人はほとんどいないでしょう。手足のない特異な風体と獲物を生きたまま丸呑みにするその捕食方法、そして猛毒を有している種も多いせいか、蛇神は古来より、邪淫、残忍を象徴し、もっぱら怖ろしき神として畏怖され、祀られてまいりました。本編はそんな怖ろしくもおぞましい蛇神を奉り、人々がその庇護を受けている世界の物語です。
蛇の性は非情にして酷薄とされております。その化身である蛇神も、またその力を具現しているとされる本編の姫巫女もまた然りです。ヒロインの母は、その蛇の性そのままに、金貨の裏表で簡単に双子の片割れであるヒロインを打ち捨てます。その後7年の間、苦難を舐めたヒロインは、都に舞い戻り次代の蛇巫女たる姉と再会するのですが、お互いの間には肉親の情などは存在しないかのようです。また古来より蛇の性(しょう)を持つ女は淫蕩(いんとう)にして淫靡であり、男の生と精を吸い取ると云われますが(元祖魔性の女!)、本編における蛇巫女はまさにそれを体現しております。淫蕩な蛇巫女に自身の思い人を所有されているという事実と彼らの情事への淫らな想像は、ヒロインをして、姉へ嫉妬と憎しみ、怨嗟を一層募らせるゆくわけです。このあたりまで読み進みますと、読者も、それらおぞましき蛇の性、それは蛇巫女たる母や姉だけではなく、ただ人であるはずの本編のヒロインの中にも確かにそれはあることに気づかされるはずです。
ヒロインが負の感情を徐々に募らせてゆくにつれ、読者はある距離感をもって彼女を見つめざるを得なくなります。けれども、それは決してこの物語自体を楽しむに邪魔にはならず、むしろ、この距離感があるからこそ、この残酷さも秘めた物語を冷静?に純粋に味わうことができるのだと思います。わかりやすく読みやすい平易な言葉を用いながらも、それでも人の心の奥底とその動きを、簡潔に的確にそして説得力をもって描く作者さまの筆はこの物語でも如何なく発揮されており、読者はこのダークで残酷な物語に引きこまれてゆくに違いありません。
明るさや甘さは皆無です。それを求められる読者の皆様へはお勧めすることはできませんが、ダークであり、残酷であり、時に倒錯的なシーンはあっても、潔さと読み応えがある完成された物語であります。なにより巧みなストーリーメーキングと、絶妙な心理描写は本当に逸品ですので大人の読者の皆様であれば、秋の夜、たまには、こんなダークで残酷で淫靡な物語も、大人のメルヘンとしてお楽しみいただけるのではないかと存じます。
作品への直接リンクOKのサイトさまですので、『蛇巫女』 目次へ直接飛びたい方は こちらからどうぞ。同じ世界設定でも、本編に比べれば明るく甘さも味わえる竜神の末裔もオススメであります。
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