ゆ り か
GENRE : オンライン小説 恋愛小説R18
SITE NAME : ひ ら さ か ん http://jun.oops.jp/i/
MASTER : 平 坂 様

CAUTION :







STORY ;
中学二年生佐藤ゆりかには双子の弟正紀がいる。ゆりかは憑かれたように勉強し続ける少女。正紀はテニス部の練習の鬼。二人は同じ中学に通っているが会話もほとんどない。が、ゆりかは正紀を弟として、あるいはそれだけでなく、意識しすぎているところがあった。
ある日、両親が傘を忘れたゆりかを迎えに行く途中で交通事故に遭う。
その事故によって、双子の関係はいびつに変容していく。正紀の暴力が始まった。―――作者さま作品紹介文より
作品のご紹介&感想
お待たせ致しました。大長編特集、再開致します。本編とあともう2作品ご紹介するつもりでおりますが、諸般の事情から予定が大幅に狂ってしまいました。残す所今年もあと一週間余りですが、果たして年内にこの特集は終了できるのだろうか…ふ、不安だ(汗)
さて、オンライン小説愛読歴の長いお客様であれば、未読の方であっても、一度や二度は本編の噂?や題名を目になさった方は多いのではないでしょうか?最初に申し上げさせていただきますが、本編、バリバリの激辛近親相姦モノであります。作者さまのお断り書きにございますように、確かに、暗くて、痛くて、長~い物語であります。不幸な出来事が重なったからとは申せ、読者からすれば、無慈悲で理不尽としかいえない双子の弟の暴力に蹂躙されることになるヒロインゆりか。流血マークこそつけなかったものの、第一部ではかなり精神的に痛い暴力シーンが続きます。
以前ご紹介申し上げた同じ作者さまの別作品「飼い犬」を既読の方はご想像がつくかと思いますが、大変力量のある作者さまでありますので、その筆力ゆえに、暴力的なシーンの痛ましさは、もう読者の胸をえぐるような迫力がございます。ですので、読み始めたものの、もうこれ以上は読めない…と思われる方がいらしても無理はないくらいであります。そういう意味で、真実読者を選ぶ作品であります。しかし、どれほど痛ましくも暴力的なシーンが続こうと、それだけの物語ではないはずだ、これほどまでに痛ましい状況であるからこそ、このままで終わるはずがない、この後、この物語はどう展開していくのだろうか…私メはその思いに引きずられて読み進んだようなものであります。そして、私メと同じように、暴力的なシーンに心を痛めながらも、それでも本編が持つ、物語としての迫力、牽引力に抗えずに読み進まれた方は、その努力?は報われる作品であると思います。
携帯小説が隆盛を極めている昨今、その中では、告白小説、リアル小説と名づけられた、少女たちが自身の体験を語った、あるいはそれを原形として描いた一連の私小説のようなジャンルができてきたようであります。娘が買った本やそれ系のネットの作品なども読んでみましたが、どうにもこうにも私的にはゴメンナサイでありました。
実は昔から私小説はかなり苦手。とは申せ、その体験が想像を超えるほどに悲惨であり特異であればこそ、それを越えて今その場に立ち、前を見ている筆者の姿とそのドラマティックな半生に感動を覚えた作品もあります。しかし、ようやく十代を抜け出した少女たちが、ほんの数年前の自分の体験を赤裸々に語った(ように思える)それらは、思春期の少女たちに支持されるのは理解できても、そして年若くして過酷な体験を持つに到った筆者への痛ましさは覚えても、それ以上のものはなく物語として私メの中に残るものはありませんでした。
もちろん、傷ついた過去を持つ人間にとって、その体験や心情を言葉として誰かに語り、吐露することが、その過去や傷を克服し、清算するための第一歩であることを充分承知しております。彼女たちにとっては、それを物語として文章で紡いだだけでも充分に意味があることも、否定するものではありません。ではなぜこんな事を持ち出し、それが本編のご紹介にどう関係があるかと申せば、本編も上述した告白小説と同じくヒロインの過酷な体験をリアリティを持って描かれた物語でありながら、私メの中に残るものがあまりにも違っていたからです。
フィクション(虚構)とノンフィクション(真実)の違いであると一言で断じられてしまえばそれまでですが、否、だからこそ、私は本編の物語としての底力、魅力を感じずにはいられません。本編は普通一般の禁断モノ、血の繋がりを超えて、異性として恋をしてしまった近親相姦系恋愛小説と同じくすることはできません。恋愛という言葉が余りにも軽く感じられてしまうくらい、また背徳という言葉が意味を持たないくらい、世の常識からもかけ離れたある意味、至高であり究極的な愛憎の物語。かなりぶっとんだ物語でありフィクションなればこその荒唐無稽であることは確かです。けれども、そもそも物語とは、荒唐無稽な出来事を、いかに、そうとは思わせずに語るかが肝心であり、目的としているとも申せます。そういう意味では本編は成功です。この非常に非常に長い作品を読んでいる間、私メは理不尽さに歯噛みすることはあっても、現実に立ちかえることなく、最後まで本編の物語世界に没頭し、読み耽ることができたのですから。どんな理不尽も、荒唐無稽も、本編の物語世界の中では自然であり、納得できるものだっただからです。
そして今更のように気づかされます。どれほど衝撃的で、痛ましいシーンがある作品であっても、その残酷や過酷を超える物語性ともいうべきものを感じることができさえすれば、私はその作品世界を楽しみ、味わい満足することができ、告白小説、非告白小説の区別なく、それを感じられない作品は、痛ましいシーンは、痛ましいだけで終わり、それ以上のものを私の中に残すことはできないことにです。では、その物語性とはなんだと問われれば、私にとっては、読ませる力、そしておもしろいと思わせる力としか申せません。広範な意味での筆力はもちろんですが、主人公の魅力やストーリー、なにより作者さまが描きたい作品世界と、伝えたいメッセージと私との相性やバランスの問題であります。私には何も残らない作品でも他者にとってはそうではない、その反対もまた然りなのは申すまでもありません。
ヒロインがヒーローの暴力に蹂躙される日々のリアリティある描写は痛ましく強烈過ぎるくらいです。忘れ難い日々…などという生易しい言葉では言い足りないほどのものがヒロインに刻みつけられたその日々は、同時に、読者にとっても容易に忘れ去ることはできない、強烈な印象が刻み付けられたはずです。けれども、やがて、その日々こそが、この屈折した複雑な関係にある双子の原点であったことに、読み通した読者は気づかれることでしょう。
最初に申し上げたとおり、本編は長くて暗くて痛い物語です。けれども、ヒロインゆりかは決して暗くはありません。第一部こそ痛ましく打ちひしがれておりますが、それだけでは終わる物語でもヒロインでもないのです。その後、彼女は、心の深遠に過去を沈めながら、それでも、強く、たくましく、美しく、したたかに成長し、自身の道を歩んでゆきます。それはもう、天晴れとしか申せません。シビアではありますが、私が一連の告白小説に馴染めなかったのは、そこで描かれるところの筆者自身を投影させたヒロイン像に魅力を感じることができなかったからでもあります。本編ヒロインゆりかは、かなりぶっとんだ女性に成長するのですが、それがまた魅力的であることは間違いありません。そして、そんな彼女が過去と再会することからまた物語は大きく、ドラマティックに動いてゆきます。決してお手軽とは思いませんが、かなり荒唐無稽な展開であり、設定とも申せますが、私はこれこそがフィクションの醍醐味であり、物語のおもしろさではないかと思いました。フィクション万歳、荒唐無稽万歳です。
最後に、以下は後日、おススメネット小説スレのまとめサイトで見つけた本編の推薦文です。長々と書き連ねた私メのご紹介文などよりずっと端的に、的確に、本編の魅力を伝えてくれます。繰り返し申し上げた通り、読者を選ぶ作品でありますので、無理にお薦めすることはできませんが、読み通された方は、きっとご満足できる作品であるに違いありません。四部までの本編完結済み。番外編、後日談にあたる五部連載中。
一言で言い表すのは難しいが、とにかく長くて暗い。
でも素晴らしい作品だ。
俺は最後までぶっとおしで読んだ。10時間以上かかったが・・・。
近親相姦があるが、だからといってただの官能ものではない。
むしろそこを基点とした2人の因縁の行き着く果てを書いている。
ぜひ、時間が許せば読んで欲しいと思う。近親相姦への嫌悪の有無にかかわらず。
平坂様のサイトはこちら


