伝 小 橋
GENRE : オンライン小説 恋愛小説非R18 R指定なし
SITE NAME : こ と の 葉 館
http://kotonoha.no.coocan.jp/
MASTER : 流 崎 詠 様
CAUTION :



STORY ;
199年、後漢(東漢)時代の中国。江北の要衝である皖城で平穏に過ごしていた小橋は、姉と共に「二橋」と呼ばれる絶世の美女である。 が、その平穏は突然に破られた。 生まれ育った皖が落とされ、家族ともども捕虜とされてしまったのだ。 そして彼女の前に現れたのは、才色兼備の青年将軍周瑜だった。三国志に連なる歴史恋愛長編
―――作者さま作品紹介文より
作品のご紹介&感想
オンライン小説でもペーパーでも、最近の中国を舞台とした物語の台頭は目を見張るものがあります。今まで幾多の小説の題材となり、大河ドラマでも取り上げられ、語り尽くされ、描き尽くされた感のある日本史ものに比べて、中国史は小説の舞台としてまだまだ開拓の余地のある魅力的な舞台だからだと思います。そしてなにしろ中国三千年の歴史は、日本ではそれほど周知されていない魅力的な歴史上の人物の宝庫でもあるからでしょう。
さて、それほど中国史には明るくないはっちでさえも、本編の主人公小橋とその姉大橋の逸話、そしてその夫となる周瑜のことは知っておりました。美周郎と呼ばれるほどの美男で、しかも、三国志で有名な赤壁の戦いで勝利を収めた名軍師さまだったとか。日本では軍師と言えばかの諸葛孔明が大変有名ですが、彼に劣らず才色兼備(男性にこの修辞をつかってよいのだろうか?)の実に魅力的な人物であります。もしかして、日本史で言えば義経クラスかも。
そんな周瑜に娶られることになったこの作品の小橋は、それまで姉の大橋のために、内面の弱さを隠して気丈に振舞っていたのですが、この縁談話が浮上したとたん、一気にその弱さが露呈してしまい、ショックで寝込んでしまいます。慄きながらもモノの様に彼の妻になるになるのは嫌だと宣言する小橋へ周瑜が激しく求婚するシーンは最高におもしろいです。中国を題材とした歴史小説が皆そうであるように、この作品も地の文に漢文的な雰囲気があるのですが、その聊か硬質な文章の上に、周瑜の激情が爆発したようなドラマティックな台詞が飛び交うわけで、その落差といいますか対比が非常に効果的で、そのため、このシーンがいっそう劇的に感じました。
なんやかんやともめた後に二人は晴れて心も体も一つに結ばれるのですが、ここからが、この物語の本当にドラマティックな展開のスタートです。戦地に赴く周瑜の留守中、美貌の小橋に焦がれ道を踏み外そうとしている恋に狂った男が登場します。周瑜もとても魅力的ですが、この周瑜の親友、彼から彼女を託されながら、彼女を奪おうとする張俊という男が不思議な男です。敵役なのか、ブラックヒーローなのか、エゴイスティックな卑怯者なのか、愚で可愛い男なのか、その全てなのか、読んでいてもわからない!でも、目が離せない!小橋は、なんとか、彼も彼の思いも退けようとするのですが、果たしてそれがどうなるのか・・・・・・!
周瑜と小橋、小橋と張俊、彼らが一対一で対峙するシーンの息がつまるような緊迫感がとてもイイです。激しい恋情と欲情でヒロインに迫る男と、彼らの求愛に押されてタジタジのヒロイン。ほとんどが心理的な攻防であり性的な描写はほとんどないのですが、まさに追う男と逃げる女の極みで、非常にドラマティックでエロティックでした。対峙している間、ぎりぎりまで耐え続け、張り詰めた小橋がついに敗れ、男の腕に落ちる姿は、まさに落花という風情であり、その落差もまたエロティックとしかいえません。
最初は焦れ焦れ、やきもき、そして、はらはら、ドキドキ、そして、どろどろ?読者はもう作者さまの筆に翻弄されまくります。読者として、それはなんと楽しいことでしょうか!史実がどうかなどは関係ありません。作者さまが描く中国三国志の時代の絶世の美女の物語を、満喫できるはずです。まだ連載中ですが、アップされてるところまででも充分、一読の価値有りのオンライン小説です!
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