闇を見る眼 ・ 闇から見る眼
GENRE : オンライン小説 恋愛小説R18
SITE NAME : Brush Up
http://sky.geocities.jp/yahashi0929/
本館Blog エターナル・アイズ
MASTER : segakiyui 様
CAUTION :







STORY ;
望んで見ているわけじゃない。望まなくても見えてくるから、人と目を合わせるのは怖い。特に怒っている人、恨みを抱いている人の目は、人の心の闇を見ている。それに気付いた瞬間に、私も闇に引き込まれる。 「これ、全部シュレッダーかけるの?」書類を処分していると、真崎が声をかけてきた。雑談風に近寄ってきたけれど、手と目は破棄書類しっかり調べているあたり、抜け目がない。人当たりはよく、一見柔和なのに、瞳の奥に独特の冷ややかさがあるこの直属の上司を美並は今ひとつ好きになれないでいた。そんな美並の気持ちも知らず、距離をおいてじっと二人をみつめている瞳に気づく――。
―盗らないで 私から真崎さんを奪わないで
―大丈夫よ、そういう関係じゃないから―
胸の中でこたえる美並。
「息苦しいったらありゃしない」
美並は『人の気持ち』が見える・・・・。
トラブルを避けるべく、人とはなるべく距離をおこうとしているのに、そんな美並の特殊能力を知ってか知らずか、飄々とした風で近づいてきた真崎は彼女に、親友が被害者になった殺人事件の相談をもちかける。
本編が完結したあと、番外編や続編として、本編の出来事を本編とは違うキャラの視点で語られるスタイルはネットでは珍しくありません。けれども、この二つの作品のように、全く同じ物事を事細かにヒロイン側とヒーロー側の視点で語られ、交互にアップされながら同時に進んでゆくオンライン小説というのは例がないと思います。ヒロインの美並視点で進む物語が「闇を見る眼」、真崎視点が「闇から見る眼」となっています。それぞれ独立した作品ではありますが、私メは二つ合わせて一つの物語として読んでまいりましたので、こちらでもそのつもりでご紹介させていただきたいと思います。初めて読まれる方は、まずは、「闇を見る眼 第一部」そして、「闇から見る眼 第一部」と読み進むことをお薦め致します。双方とも一部を読了なさった後は、お好みで・・・・(^_^;)
さて、このヒロインの、他人の気持ちがわかる・・・という特殊能力は、SFの世界では珍しくありません。遠くは、筒井康孝の七瀬シリーズでしょうか、七瀬は他人の感情が読める超能力者でしたが、本編のヒロイン美並の場合は、それほどあからさまではありません。見る人が、その心身に抱えているものが、色や抽象的なイメージとして彼女には見えてくるそうです。霊が見える霊能力者とは違うようですが、視覚として感じるということで、オーラが見えるという状態に近いのかもしれません。幸せな人はばら色のものを抱え、心身に負の要因、病巣や怒り憎しみなど感情をもっていると黒く見えるわけです。SFっぽさがある能力ですが、本編はSFという雰囲気はあまりありません。無理にジャンルを決め付ける必要もありませんが、強いて申しあげるならば、SF2ミステリ2恋愛6ぐらいの割合の作品でしょうか。SFとミステリ要素がからみあった、それだけに見せ場の多い、とてもおもしろいオンライン恋愛小説だと私は思います。
さて、この特殊能力ゆえに、過去に傷ついた経験をもつヒロイン美並でしが、彼女の真摯で誠実、しっかりもので人のよい長女気質?はとても好感が持てます。物語の導入部、粘着質な同僚の存在もあり、真崎とは距離を置きたい美並でしたが、彼女のその長女気質を見越して距離を縮めてゆく彼の人を食ったようなしたたかさや、謎めいた言葉は、美並だけではなく読者をもひきつけてゆきます。物語が進むにつれ、徐々に明らかになっていく謎と、屈折したものを抱え多面性をもつこの食えないキャラ真崎の心の闇、それこそがこの物語の核となっているのではないかと思います。そして華!紛れも無くこの物語の華は真崎であってヒロインの美並ではないような気がします。地味な魅力の持ち主のヒロインと対照的に、艶や色気、華やぎは真崎が担当しております。容姿だけのことを言っているのではありません、彼のどこがどう色っぽいか、艶っぽいかは、お読みいただかなければ!(笑)
物語の前半は、ヒロインの健全さが気持ちよく物語りを牽引し、さばいてゆきますが、中盤にはいり、ヒーローの内面が明かされるにつれ、読者はよくも悪くも彼に翻弄されるでしょう。過去、そして現在にまたがろうとする不本意な性的体験ゆえに彼はかなり屈折した複雑なキャラとなっていますし、そう意味ではかなりのヘタレです。美並は彼をガラスの破片と評したことがあります。にこにこ笑っているけれど、その中に尖った破片があるのが対峙する人は気づき、だからこそ、普通の人は彼への攻撃を諦めると。彼の内面がガラス並みの脆さがあることは間違いありません。割れた破片に手を引っ込める人もいれば、それをもっと、粉々になるまで壊してしまおうとする人間もいるわけですが、その尖った破片を柔らかく包み込もうとする美並の健やかな強さとしなやかさに真崎は惹かれてゆくわけです。
中盤から後半、二人が恋愛モードになるにつれ、彼のヘタレぶりと、艶っぽさは全開になっていきます。エロティックな雰囲気もある作品なのですが、そのエロティックな部分を男性である真崎が担当しているもので、今までご紹介した作品とは少々違う不思議な雰囲気があります。私メはBLを読んだことがないのですが、もしかしたら、それの雰囲気に近いかもしれません。これは男同士の行為があるからという意味ではなく、作中では真崎に女性に近い感覚で性感や性愛を語らせているからです。BLと言うよりも、二人の情事は、綺麗なレスビアン同士の情事ならこうかもしれないと思えるような、甘さと柔らかさがありました。そういう雰囲気が苦手な方はご注意です。
導入部はミステリ風で、謎をちりばめながら、テンポよくストーリーは進み、ぐいぐい読者を物語へひきこんでいきます。そのあたりはミステリを手がける作者さまだけあって、もうさすがです。文章も無駄がなく、読みやすく、わかりやすく簡潔。ストーリーと丁寧に描かれたキャラには意外性と説得力があり、とにかくひきつけられます。
それもそのはず、実はこちらの作者さまは、もうアマチュアとはいえない方です。出版なさった作品もおありですし、本館のエターナルアイズではたくさんの作品をネットで期間限定で公開なさっておられますが、期間が過ぎたら、順次ネットからは下げられ、その後、有料無料のメルマガなどでしか閲覧できなくなります。こちらのオンライン小説も、完結後はそうなるでしょうし、完結も間近いと思われます。自由に読める今のうちに、読ませていただくことをお薦めいたします。
segakiyui様のサイトはこちら
『 Brush Up 』

―大丈夫よ、そういう関係じゃないから―
胸の中でこたえる美並。
「息苦しいったらありゃしない」
美並は『人の気持ち』が見える・・・・。
トラブルを避けるべく、人とはなるべく距離をおこうとしているのに、そんな美並の特殊能力を知ってか知らずか、飄々とした風で近づいてきた真崎は彼女に、親友が被害者になった殺人事件の相談をもちかける。
作品のご紹介&感想
本編が完結したあと、番外編や続編として、本編の出来事を本編とは違うキャラの視点で語られるスタイルはネットでは珍しくありません。けれども、この二つの作品のように、全く同じ物事を事細かにヒロイン側とヒーロー側の視点で語られ、交互にアップされながら同時に進んでゆくオンライン小説というのは例がないと思います。ヒロインの美並視点で進む物語が「闇を見る眼」、真崎視点が「闇から見る眼」となっています。それぞれ独立した作品ではありますが、私メは二つ合わせて一つの物語として読んでまいりましたので、こちらでもそのつもりでご紹介させていただきたいと思います。初めて読まれる方は、まずは、「闇を見る眼 第一部」そして、「闇から見る眼 第一部」と読み進むことをお薦め致します。双方とも一部を読了なさった後は、お好みで・・・・(^_^;)
さて、このヒロインの、他人の気持ちがわかる・・・という特殊能力は、SFの世界では珍しくありません。遠くは、筒井康孝の七瀬シリーズでしょうか、七瀬は他人の感情が読める超能力者でしたが、本編のヒロイン美並の場合は、それほどあからさまではありません。見る人が、その心身に抱えているものが、色や抽象的なイメージとして彼女には見えてくるそうです。霊が見える霊能力者とは違うようですが、視覚として感じるということで、オーラが見えるという状態に近いのかもしれません。幸せな人はばら色のものを抱え、心身に負の要因、病巣や怒り憎しみなど感情をもっていると黒く見えるわけです。SFっぽさがある能力ですが、本編はSFという雰囲気はあまりありません。無理にジャンルを決め付ける必要もありませんが、強いて申しあげるならば、SF2ミステリ2恋愛6ぐらいの割合の作品でしょうか。SFとミステリ要素がからみあった、それだけに見せ場の多い、とてもおもしろいオンライン恋愛小説だと私は思います。
さて、この特殊能力ゆえに、過去に傷ついた経験をもつヒロイン美並でしが、彼女の真摯で誠実、しっかりもので人のよい長女気質?はとても好感が持てます。物語の導入部、粘着質な同僚の存在もあり、真崎とは距離を置きたい美並でしたが、彼女のその長女気質を見越して距離を縮めてゆく彼の人を食ったようなしたたかさや、謎めいた言葉は、美並だけではなく読者をもひきつけてゆきます。物語が進むにつれ、徐々に明らかになっていく謎と、屈折したものを抱え多面性をもつこの食えないキャラ真崎の心の闇、それこそがこの物語の核となっているのではないかと思います。そして華!紛れも無くこの物語の華は真崎であってヒロインの美並ではないような気がします。地味な魅力の持ち主のヒロインと対照的に、艶や色気、華やぎは真崎が担当しております。容姿だけのことを言っているのではありません、彼のどこがどう色っぽいか、艶っぽいかは、お読みいただかなければ!(笑)
物語の前半は、ヒロインの健全さが気持ちよく物語りを牽引し、さばいてゆきますが、中盤にはいり、ヒーローの内面が明かされるにつれ、読者はよくも悪くも彼に翻弄されるでしょう。過去、そして現在にまたがろうとする不本意な性的体験ゆえに彼はかなり屈折した複雑なキャラとなっていますし、そう意味ではかなりのヘタレです。美並は彼をガラスの破片と評したことがあります。にこにこ笑っているけれど、その中に尖った破片があるのが対峙する人は気づき、だからこそ、普通の人は彼への攻撃を諦めると。彼の内面がガラス並みの脆さがあることは間違いありません。割れた破片に手を引っ込める人もいれば、それをもっと、粉々になるまで壊してしまおうとする人間もいるわけですが、その尖った破片を柔らかく包み込もうとする美並の健やかな強さとしなやかさに真崎は惹かれてゆくわけです。
中盤から後半、二人が恋愛モードになるにつれ、彼のヘタレぶりと、艶っぽさは全開になっていきます。エロティックな雰囲気もある作品なのですが、そのエロティックな部分を男性である真崎が担当しているもので、今までご紹介した作品とは少々違う不思議な雰囲気があります。私メはBLを読んだことがないのですが、もしかしたら、それの雰囲気に近いかもしれません。これは男同士の行為があるからという意味ではなく、作中では真崎に女性に近い感覚で性感や性愛を語らせているからです。BLと言うよりも、二人の情事は、綺麗なレスビアン同士の情事ならこうかもしれないと思えるような、甘さと柔らかさがありました。そういう雰囲気が苦手な方はご注意です。
導入部はミステリ風で、謎をちりばめながら、テンポよくストーリーは進み、ぐいぐい読者を物語へひきこんでいきます。そのあたりはミステリを手がける作者さまだけあって、もうさすがです。文章も無駄がなく、読みやすく、わかりやすく簡潔。ストーリーと丁寧に描かれたキャラには意外性と説得力があり、とにかくひきつけられます。
それもそのはず、実はこちらの作者さまは、もうアマチュアとはいえない方です。出版なさった作品もおありですし、本館のエターナルアイズではたくさんの作品をネットで期間限定で公開なさっておられますが、期間が過ぎたら、順次ネットからは下げられ、その後、有料無料のメルマガなどでしか閲覧できなくなります。こちらのオンライン小説も、完結後はそうなるでしょうし、完結も間近いと思われます。自由に読める今のうちに、読ませていただくことをお薦めいたします。
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