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憎しみの檻
GENRE : オンライン小説 恋愛小説R18
SITE NAME : MOON CIRCLE 18R
http://red.ribbon.to/~tukimaru/
MASTER : 月丸 うさぎ 様
CAUTION :

STORY ;
二年に渡る戦に敗れた故国。降伏を前に、死を覚悟した王妃から王女を託された侍女レリアは、その幼い主を身命を賭けて守ることを自らに誓う。後に王女の婚約者となる敵国王子は思いのほか寛大な処置で彼らを遇し、王妃の命を奪うこともそれ以上故国を蹂躙することもなかったが、それで父と兄を失ったレリアの哀しみが消えるわけはなかった。彼女は人質となって敵国に赴く王女にただ一人つきそって故国を離れることになるが、その前に家族が受けた屈辱を忘れぬために城壁に晒された父と兄の亡骸の前に立つ。変わり果てた彼らの姿に、哀しみが怒りへ、怒りが憎しみへと膨れ上がり、その身を苛まれていた彼女の前に一人の若い男が声をかける。
兄を討ち取ったという敵国の騎士にして王子の側近アシル。憎むべき対象が与えられ、その時から彼女はその憎しみの檻に囚われて生きてゆくことになる。
戦勝国の騎士と戦敗国の王女に仕える侍女が織り成す、愛と憎しみの物語。
続編は、アシル視点から語られます。
戦勝国のヒーローと、敗戦国のヒロインの恋愛を描いた物語は、オンライン小説の世界では珍しくはないのですが、その中でもこの作品のように、侍女と騎士という、表舞台からは一歩ひいたキャスティングは中々ないと思います。そのせいか、まるで歴史上の人物や物事を裏側から語った年代記のような趣もあり、それもまたこの作品の魅力となっています。
胸中に激しい心情を秘めながらも、淡々と簡潔にヒロイン視点で物語は語られます。感情を抑えた作者さまの冷静な筆運びと彼女のキャラがぴったりとはまり、そんなヒロインのクールさは痛々しくもあるのですが、かえって物語のドラマティックさを引き立てていて、とても効果的だと思いました。
遺恨と妄執に囚われて生きていくヒロインかと思いきや、人間、どんな形であれ、平穏な生活の中で、そうした負の感情を持ち続けるのは難しいものです。敵国王子に打ち解けていく幼い主君を苦々しく思いながらも、彼女自身もその憎しみが日々の生活の中に埋没していきそうになります。このあたりも、とてもリアルで説得力がありました。それなのに、せっかく下火になりかけた憎しみを、わざわざ煽りたて、それに薪をくべるような残酷な仕打ちをヒーローはしでかすのです。彼は本当に恋愛小説のヒーローなんだろうか・・・とこの時はさすがに疑問に思ったくらいです。実は、そう思った時点で読者は、作者さまの術中にはまっていたわけですが、それは後ほどわかります。
幼い主君を守らねばいう庇護者的な忠誠を支えに、ヒーローへの憎しみを糧に生きてゆこうとするヒロインですが、主は仇のはずの王子へと心を寄せ彼女の庇護から離れてゆこうとします。また、彼女自身も、望まぬとはいえ彼と関係を持った後からその心情も揺らいでゆきますが、憎しみの檻に深く囚われたヒロインは、主である王女のように、そう簡単に新たな未来を夢見ることも、築くこともできません。なによりも、このブラックヒーロー(といってよいでしょう)が優しい王子のように、ヒロインに安らぎを与えてはくれないのです。
自らの心情とヒーローの言動に翻弄されながらも、生真面目に主君への忠節を貫こうとする、頑なではあるが健気で、冷静で誠実なヒロインは好感が持てます。読者が好感を持ち、共感できるからこそ彼女のその懊悩は余計に痛々しく、本編しか読んでいなかった時点では、その元凶であるヒーローへの私の評価はかなり低めでした。続編を読んで、ようやく納得できたと申しますか、溜飲が下がったのですが、そういう意味で、これは二つあわせてひとつの物語ではないかと思います。
ヒロインにとっては不幸なことに、肉体的な関係だけが先行するストーリーは大変エロティックですが、中々甘くなりません。エンディングも、ハッピーエンドと受け止めるかアンハッピーと受け止めるかは、読む方によってまちまちでしょう。けれども、そうした、変則的?なエンディングも、この個性的で甘くないオンライン恋愛小説にふさわしいと思いました。
月丸うさぎ様のサイト18Rはこちら


戦勝国の騎士と戦敗国の王女に仕える侍女が織り成す、愛と憎しみの物語。
続編は、アシル視点から語られます。
作品のご紹介&感想
戦勝国のヒーローと、敗戦国のヒロインの恋愛を描いた物語は、オンライン小説の世界では珍しくはないのですが、その中でもこの作品のように、侍女と騎士という、表舞台からは一歩ひいたキャスティングは中々ないと思います。そのせいか、まるで歴史上の人物や物事を裏側から語った年代記のような趣もあり、それもまたこの作品の魅力となっています。
胸中に激しい心情を秘めながらも、淡々と簡潔にヒロイン視点で物語は語られます。感情を抑えた作者さまの冷静な筆運びと彼女のキャラがぴったりとはまり、そんなヒロインのクールさは痛々しくもあるのですが、かえって物語のドラマティックさを引き立てていて、とても効果的だと思いました。
遺恨と妄執に囚われて生きていくヒロインかと思いきや、人間、どんな形であれ、平穏な生活の中で、そうした負の感情を持ち続けるのは難しいものです。敵国王子に打ち解けていく幼い主君を苦々しく思いながらも、彼女自身もその憎しみが日々の生活の中に埋没していきそうになります。このあたりも、とてもリアルで説得力がありました。それなのに、せっかく下火になりかけた憎しみを、わざわざ煽りたて、それに薪をくべるような残酷な仕打ちをヒーローはしでかすのです。彼は本当に恋愛小説のヒーローなんだろうか・・・とこの時はさすがに疑問に思ったくらいです。実は、そう思った時点で読者は、作者さまの術中にはまっていたわけですが、それは後ほどわかります。
幼い主君を守らねばいう庇護者的な忠誠を支えに、ヒーローへの憎しみを糧に生きてゆこうとするヒロインですが、主は仇のはずの王子へと心を寄せ彼女の庇護から離れてゆこうとします。また、彼女自身も、望まぬとはいえ彼と関係を持った後からその心情も揺らいでゆきますが、憎しみの檻に深く囚われたヒロインは、主である王女のように、そう簡単に新たな未来を夢見ることも、築くこともできません。なによりも、このブラックヒーロー(といってよいでしょう)が優しい王子のように、ヒロインに安らぎを与えてはくれないのです。
自らの心情とヒーローの言動に翻弄されながらも、生真面目に主君への忠節を貫こうとする、頑なではあるが健気で、冷静で誠実なヒロインは好感が持てます。読者が好感を持ち、共感できるからこそ彼女のその懊悩は余計に痛々しく、本編しか読んでいなかった時点では、その元凶であるヒーローへの私の評価はかなり低めでした。続編を読んで、ようやく納得できたと申しますか、溜飲が下がったのですが、そういう意味で、これは二つあわせてひとつの物語ではないかと思います。
ヒロインにとっては不幸なことに、肉体的な関係だけが先行するストーリーは大変エロティックですが、中々甘くなりません。エンディングも、ハッピーエンドと受け止めるかアンハッピーと受け止めるかは、読む方によってまちまちでしょう。けれども、そうした、変則的?なエンディングも、この個性的で甘くないオンライン恋愛小説にふさわしいと思いました。
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