S A L E
春の学園もの特集 第4弾

GENRE : オンライン小説 恋愛小説R18
SITE NAME : bittersweet chocolate http://sweetchoco.halfmoon.jp/
MASTER : 雪嶋 ゆえ 様
CAUTION :


STORY ;
父は海外出張中。キャリアウーマンの母は残業の日。美夏はコンビニで時間で潰していたら、同じ学校の男子生徒に声をかけられた。彼は彼女ができてももって3ヶ月と噂の人。きっと彼にとっては女の子なんて、安売りで買ったTシャツみたいな物なんだと思う。学校外でのそんな彼との出会いが偶然か、必然か、美夏の生活のバランスを変えていく事になる。
――作者さま作品紹介文より
作品のご紹介&感想
さて、オンラインらぶえっち系作品の名作、雪嶋ゆえ様のSALEをご紹介申しあげます。完結なさったのは何年も前ですが、何度読んでも面白い、だからこそ、今も根強いファンを持つ、本当に超有名作品ですので、お読みになったことはなくとも、どこかで題名を目になさった方も多いのではないでしょうか?既読の皆様、おもしろいですよねえぇぇ~?未読の皆様、おっもしろいですわよおぉぉん~!
タラシ系のヒーローと、真面目なヒロインの恋物語は、オンラインの世界ではもはや定番とも言うべきカップリングですが、こと、らぶエッチ系作品に限っていえば、未だにこの「SALE」を超えた作品はないのではないかしらん・・・と私メは思っております。そもそもこのカップリングがもてはやされる?ようになったのも、色々な意味で、この作品「SALE」の影響があったればこそではないかと密かに思っているくらいです。
ヒーローは、まさに正真正銘、正統派真性?タラシ君です。初めて読まれる方は、読み進むうちに、なぜこのカッコよくはあっても、”飛び切り”カッコイイというわけではないヒーローが、長続きしないことが知れ渡っていながら、今まで彼女がとぎれなかったのか、必ずや、納得なさることでしょう。タラシ系?ヒーローが登場する作品の多くでは、彼らがいかにカッコよくて、いかにモテ、いかに女出入りが激しかったかは、描かれております。しかし、そこで描かれる彼らの魅力、つまり女性たちにもてはやされる理由の多くは、容貌や姿やセックスアピール、財産や地位、能力など、いわば上辺の部分がほとんどであり、その内面、あるいはそれが滲み出る言動を理由として描かれることはめったにありません。むしろ、ヒロインに出会う前につきあっていた歴代彼女たちへの態度からすると、彼氏として(時として人間として)サイテーな奴として描かれることがとても多いです。にも関わらず、ことヒロインに対しては、全く態度が違う・・・・まあ、その落差が読者としては楽しいことは否定しませんが・・・(笑)
そんな、恋人として、あるいは人間として最低であったにも関わらず、なぜ女性たちがそのヒーローに惹きつけられ、彼に群がっていたのか。その魅力の源が何であったのかが描かれていないと、物語として、非常に説得力に欠けてしまいます。最低なヒドイ男であるならあるで、(そういうヒーローも実は好物なはっち)なぜ、そうなるに到ったか、あるいは、なぜヒロインだけを特別扱いするのか、その辺りが曖昧ですと、非常に物足りなく、また物語に浸ることもできません。
しかし、この作品でその類の物足りなさを感じることは皆無で、白けることなく物語の世界に浸れます。上述したように、読者の皆様も、本編のヒーロー筒井君がなぜかくもタラシ君モテオ君であったのか、必ずや納得なさるに違いありません。彼の元カノもこう語っております。――「だって……噂ではあんなだけど、つきあってる時はすごく優しくて。今までの子と、私は違うんじゃないかって……途中からそう思えるくらいだったんだもん……」――恋をしている女の子にはありがちな心理、ありがちな台詞ですが、ありがちなわりには、読者が作中のヒーローの言動から、この台詞に共感できることはめったにありません。繰り返しますが、この作品は違います。うんうん、わかるよ元カノちゃん、相手が筒井君なら無理はないよねえと思わず彼女を慰めたくなってしまうくらいです(笑)。そんな彼ですから、ヒロインがどれほどブレーキをかけようが、付き合ううちに心が傾いていってしまうのも無理はありません。
さて、ヒーローは、ヒーローなりにヒロインを特別扱いしていたことが後々わかるのですが、特別扱いの分を割り引いたとしても、彼は根本的に女の子の扱い方を心得ているとしか思えません。一朝一夕にできるものではない、さりげなくも、パーフェクトな彼女へのエスコートぶりは、それが滲み出ておりました!どこが、どんな風にと詳しくご説明するのは省かせていただきますが、ぜひ、ご自身でお読みいただいて、作中の彼の言動からそれを実感なさってくださいませ~
そして、ここが一番感じ入ったところなのですが、彼のようなタラシ君は、めったにいないとは思うのですが、それでいて、どこかにいそうなのです。単に女慣れしているのとは一味違う、格別にカッコイイというわけではないけれども、女性の扱い方を心得ているとしか思えない、身についた自然なふるまいと気配りで、無意識に女性の心を惑わす困った男・・。
皆様、学校や会社に一人や二人、そんな男性はいませんでしたか?中々いないのですが、時々いるんですよ、リアルな世界にもこういう男性は。このヒーローは彼らを彷彿とさせ、そういう意味で、とてもリアリティがありました。まさにリアルとドリームを兼ね備えた、ナチュラルでいながらスペシャルなヒーローです筒井君は。そんな風に彼を描ききった作者さまの力量にはひたすら脱帽でございます。
説得力と魅力に富んでいるのはヒーローだけではありません。ヒーローに惹かれながらも、クールにドライに彼との心の距離を保とうとする少々ワケアリのヒロインも、そのやせ我慢?ぶりがとても可愛くて好感が持てました。一つ一つのシーンがとても丁寧に、そして情感をもって映像的に描かれていますので、読んでいて彼女の心の揺れる様子がストレートに伝わってきます。肉体的な関係が唐突に始まる恋愛物語ですが、ストーリーの流れはとても自然で無理がありません。読みやすくわかりやすい簡潔な文章は、その流れを一層スムーズなものにしており、スイスイと読み進むことができました。エロティックではあっても、そこにどろどろした生臭さはなく、どこかピュアな印象が残る物語です。
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